こちらは孤島の屋敷で起こる
連続殺人事件を、傷心の探偵が
解いていく物語よ。
クローズド・サークルものね。
ミステリファンにはそそるよな。
なんで探偵は傷心なの?
一緒に活動していた仲間を
失ってしまったの。それと、ある事情に
より探偵を必要とする事件が世の中から
減っていることも関係するかも。
仲間をなくしたのは辛いよな。
それと「ある事情」ってのは
どんなものなんだ?気になるぜ!
『楽園とは探偵の不在なり』
斜線堂 有紀 (著) ハヤカワ文庫JA
あらすじ
いつの頃からか、この世界には天使が現れるようになった。
グロテスクな見た目を持つこの天使は、2人以上殺した人間を即座に地獄へと引き摺り込む。
探偵の青岸焦は、大富豪である常木に誘われ、天使が多く集まる常世島へとやってきた。
天国の存在を信じる孤島の主・常木のほか、代議士の政崎、天国研究家の雨澤、記者の報島、実業家の争場らが滞在するこの島で、起こるはずのない連続殺人事件が。
犯人はなぜ、天使によって地獄に落とされずにいるのか。
またどのようにして犯行に及んだのか。
孤島を舞台にした 起こるはずのない連続殺人
蝙蝠のような灰色で骨ばった翼と、鉋で削られたかのような平たいのっぺらぼうの顔を持つ、気味の悪い姿をした天使たちが現れるようになってから連続殺人事件は起こらなくなりました。
そのかわり「一人だけなら殺してもセーフ」という考えから衝動的な殺人事件が増加。
また「二人殺してアウトならまとめてたくさん殺したらいい」と考える人間が生まれ、大量殺人事件も次々と起こります。
そんな事件の一つに巻き込まれ、仕事仲間を喪った、探偵の青岸。
事務所はすっかり寂れていましたが、常木から仕事の依頼を受けた後、天国の有無を知りたくないか、という言葉で彼に誘われ常世島へ。
多くの天使が集うこの孤島で起こる連続殺人事件の犯人の正体、動機、そしてそのトリックとは。
まとめ
殺せる人間の数に制限あり、というかつてない「縛り」の中で起こる連続殺人事件。
また、天使という存在から、命や正義の価値観を問う、という側面もあります。
犯行のトリックも意表を突く見事なものですが、登場人物たちの痛いような苦しみと、不条理な世界に対するやり場のない怒りや悲しみがひしひしと伝わってくるミステリーです。
<こんな人におすすめ>
二人以上殺すと自分が地獄に落ちるという条件の中で起こる連続殺人事件を描いたミステリーに興味がある
クローズド・サークルのミステリーが好き
斜線堂 有紀のファン
こんな「縛り」見たことないぜ!!
んで天使怖いんですけど(ll゚Д゚)・・
「二人殺したら地獄行き」という
かつてない条件の中での連続殺人の
トリックには目を瞠るものがあるわね。
登場人物たちの細やかな心理描写にも
注目の、読みがいのあるミステリーよ。
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