こちらは寒天問屋に引き取られ
丁稚として働き始めた少年が
商売を学びながら商人として
人して成長していく姿を描いた
物語よ。
寒天問屋かあ。その少年は
どんな経緯でこの店で
働くことになったんだ?
仇討ちにより目の前で父親を
斬られてしまったの。少年までも
斬られようとしていたところを
寒天問屋の主人が銀二貫で
「この仇討ちを買う」と申し出たの。
おお!店主の機転で少年の命は
助かったんだな!ところでその
銀二貫というのは何に使うための
金だったんだろう?
『銀二貫』高田 郁 (著) ハルキ文庫
あらすじ
安永七年(一七七八年)。
大坂を襲った大火災「天満焼け」の被害に遭った「天満の天神さん」への寄進、銀二貫を持っていた寒天問屋「井川屋」の店主、和助。
天神さんへ行く途中、仇討ちにより父を斬られ、その息子までもが刃を向けられる場に遭遇し、その仇を銀二貫で買う。
息子は「松吉」と名付けられ、井川屋の丁稚として生きることに。
商いを教えられ、多くの人と出会い、別れをくり返す中、商品である寒天への知識と愛着を深めていく。
そして、一人の女性への思いを抱き続け、彼女との約束を果たすために精進を重ねていく松吉に、様々な障害が現れる。
銀二貫で武士の息子から商人へ
仇討ちを称する浪人に、目の前で父を斬られた松吉は、和助が機転を利かせて銀二貫を浪人に払い「仇討ちを買った」ことで命拾いします。
さらに和助が営む寒天問屋の丁稚として生きていくことに。
天満様への寄進を使った、ということで大番頭からの当たりはきついものがありましたが、商いの教えを守り、吸収しながら松吉は成長していきます。
取引先である料理屋、「真帆屋」の店主からは使用人が口にすることのない寒天の良さを教えてもらい、また店主の娘・真帆は幼いながら見通しが広く、そして素直な言葉に胸が温かくなるのでした。
そして店主が望む「腰の強い寒天を作る」と真帆と約束を交わす松吉ですが…。
まとめ
井川屋の主人、和助が買った仇討ちにより、商人としての命を得た松吉は、寒天の可能性や商いの心構えなど様々なことを教えてくれる人々との出会いを重ね、商人としての道を進んでいきます。
別れや停滞、苦しみを経験しながら得た成果、そして売り上げはまた新たな誰かの笑顔と幸福へつながっていくのです。
大坂商人の商いに対する覚悟と矜持、そして人と物を育てる思いに感動する物語です。
<こんな人におすすめ>
命を救われ商人として生きることになった少年が成長していく物語を読んでみたい
江戸時代の大阪商人の考え方、価値観、幸福について描いた話に興味がある
高田 郁のファン
もう 人と人の情と絆
良いものを作り出そうとする思いが
波のように押し寄せてきて
感動の涙がとまらないぃぃ。゚(゚இωஇ゚)゚。
大坂商人の矜持と機転
そしてそのお金の使い方によって
新しいつながりを生み出していく
様子に胸が熱くなる物語ね。
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