こちらは若き女社長が率いる
葬儀社のもとに舞い込む
奇妙な謎をクセのある社員たちが
解いていくミステリーよ。
葬式関係のミステリー!!
もしかしてご遺体が
紛失しちゃったりとか?
そうした事件も起こるわね。
他には火葬をしないでほしいという
依頼や、実家と疎遠になっていた
次男を喪主に、という故人の遺言も。
日本で火葬しないなんて
無理な話だろ。それに喪主を
実家によりつかない次男にってのも
奇妙な話だな。葬儀社の社員はどうやって
その謎を解いていくんだろう?
『葬式組曲』天祢 涼 (著) 文春文庫
あらすじ
北条葬儀社は二十代の女社長、北条紫苑をはじめ、ベテランの餡子邦路、中性的な顔立ちの二十代の青年、新実直也、無愛想な男、高屋敷慈英の四人で切り盛りする小さな葬儀会社。
遺族から高い評価を受けているが、いくつもの変わった葬儀の相談が舞い込む。
次男を喪主に、火葬はダメ、火葬場で消えた遺体など、葬式に関する様々な謎に、クセの強い社員たちが挑む。
奇妙な遺言と葬式の謎
久石酒造の蔵元杜氏である父親が亡くなったとの知らせを受け、実家に帰ってきた雄二郎。
自分の跡を継げという父に反発して家を出て、東京でデザイナーとして働いていました。
酒蔵を手伝っていた兄の賢一郎から聞かされた父の遺言に雄二郎は驚きます。
それは、雄二郎を喪主とすること、そして通夜振る舞いに出す自分の蔵の酒を、雄二郎がデザインしたラベルの瓶から、長男・賢一郎がデザインしたラベルの瓶につめかえて出せ、というもの。
亡くなった先代の意図とは何なのか。
また、祖母の葬儀について生前相談に訪れた二十四歳の瑞穂。
彼女の要望は「祖母を焼きたくない」というもの。
日本では火葬以外で埋葬することはできない旨を説明し、納得してもらいましたが、何とその九日後に祖母が階段から落ちて亡くなったと連絡が入ります。
駆けつけた葬儀社の面々に対して瑞穂は「棺に力を入れたい」「絶対神ゼロを召喚する棺なら火葬の滞在も赦される」と言い出して…。
まとめ
若き女社長・紫苑、あやしげな関西弁を操るベテランのフリー葬儀社員・餡子、寡黙な高屋敷、生真面目な新実が抜群のチームワークで個人や遺族の心の奥にあるものを見つけ出し、寄り添います。
彼らのプロ意識と葛藤に感銘を受けたところで迎えるラストには思わずひっくり返る、最後まで目が離せない葬式ミステリーです。
これはびっくり!!
葬式ってこんなにいろんな
準備が必要なのも知らなかった。
何よりこのラストが…!!
故人、遺族ともに胸に抱えるものが
葬式という場で吹き出てくるものなのかも
しれないわね。
人間ドラマとしても、もちろん謎解きと
しても秀逸な葬式ミステリーね。
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