ひと目でわかる!イラストブックレビュー
『異邦人』カミュ (著)

のこ
のこ

こちらは母親が死んだ後に

遊びまわり、友人の男女関係の

トラブルから一人の男性を殺して

しまったムルソーを描く物語よ。

ぬこ
ぬこ

え、母が死んだ悲しみにくれるとか

そういうのがない?それで男を殺す?

どういう状況?

のこ
のこ

ムルソーは男性を殺したのは

「太陽のせい」と答えているの。

死刑判決を受け、自分の死や

幸福について考えていくのよ。

ぬこ
ぬこ

太陽のせい…?

わけがわからん。そんなムルソーの

幸福とは何だったんだろうな。

『異邦人』 カミュ (著) 窪田啓作 (翻訳) 新潮文庫

あらすじ

養老院に入っていた母親が死んだ。

ムルソーは母親を埋葬した翌日、女と体を重ね、映画を見る。

友人の女関係のトラブルから一人の男を殺してしまう。

その動機は「太陽のせい」。

刑務所に入り、弁護士と話を重ね判事とも会話をするが内容が噛み合わない。

裁判で死刑判決を受け、来たる死について考えながら、自分の幸福と最後の望みに気づく。

母を亡くした夏 人生が大きく変わる

養老院に入って三年になるムルソーの母親が死にました。

連絡を受けたムルソーは仕事を休み、葬儀へと出かけます。

母の顔を見るか、という葬儀屋の申し出を断り、棺は閉められ車で墓地へと運ばれます。

暑い中、徒歩で墓地へ歩いていったムルソーは疲れ果て、終わってからようやく眠れる、と安堵したのでした。

翌日は休日だったため海水浴へ行き、知事委員の女性・マリイと出会い、一緒に映画を見た後、体を重ねます。

休日も終わり、仕事に出かけ、友人のレエモンと酒を飲みます。

レエモンは女関係でトラブルを抱えているのだと言います。

レエモンの友人が所有するヴィラで休日を過ごそうと招かれてやってきたムルソー。

しかしレエモンのトラブルの相手であるアラビア人たちと遭遇し、ムルソーはその一人を撃ち殺してしまいます。

逮捕され刑務所に入ったムルソーは弁護士や判事と話し合いますが、どうも話がかみ合いません。

裁判では事件のことよりも、なぜかムルソーの母親の葬儀での彼の態度が取りあげられ、冷酷で頭脳明晰な人間であるとされ、死刑判決を受けてしまいます。

どこか他人事のようにその事実を受け入れたムルソーは、残された時間を独房から見る景色や裁判のシステム、ママンがしてくれた父の話などを考え続け、ある考えに到達します。

まとめ

母のことを思い出し、考えたりもしますが、涙を流さなかったり打ちひしがれた様子が見られなかったムルソー。

太陽の光が目に刺さり、衝動的に行われてしまった殺人ですが、これもまた弁護士や判事に上手く伝わりません。

というか伝えること自体放棄している感もあります。

そんなムルソーの見た目の様子から、裁判では神を信じないために凶悪な魂を持っている、インテリであり大罪に反省した様子もない、と検事がまくしたて、ついには死刑となってしまいます。

一貫性のないムルソーが独房の中で見出した幸せと願望は、彼が自分自身の内面に最も近づいた瞬間なのかもしれません。

不条理なのは世の中なのか、ムルソー自身か。

深く考えさせられる物語です。

<こんな人におすすめ>

母の死がどこか遠く感じられる男の人生を描いた物語を読んでみたい
幸福とは何か、また理性や人間の不合理を追求した作品に興味がある
カミュのファン

ぬこ
ぬこ

死刑への持っていかれ方が

こじつけじみていて気の毒。

でも説明しきれないムルソー自身も

不条理ではある。

のこ
のこ

そんなムルソーが獄中で見つけた

幸福とはいったい何だったのかしらね。

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