こちらは自殺へと誘導する
VRの謎を探り、死へ向かう者たちを
止めようとする物語よ。
VRってゴーグルつけてリアルな
映像が流れるやつ?それで
自殺に誘導することなんて
できるのか?
最初は美しい世界の映像が
流れるの。日を追うごとに
その景色は変化していくとともに
閲覧者にミッションが与えられるわ。
そこで死への抵抗を無くしていくやり方なの。
うわ〜 相当練られているんだな。
自殺願望のある人間の手に渡ったら
相当まずい事態になるんじゃないか。
『銀色の国』逸木 裕 (著) 創元推理文庫
あらすじ
NPO法人「レーテ」で自殺志願者のセーフティネットとしての活動を行なっている田宮晃佑のもとに、この仕事をするきっかけをくれた友人・市川博之の悲報が届く。
亡くなる前、VRにのめり込み飛び降り自殺したのだという。
VRが自殺に関係しているのでは、と考えた晃佑は元ゲームクリエイターである友人の城間宙とともに調査を開始。
一方、自傷行為をくり返す浪人生のくるみは、SNSのフォロワーからネット上のみつながる自助グループ「銀色の国」への誘いを受ける。
参加するために受け取った荷物の中身はVRゴーグルだった。
仮想現実の世界で人を死へと誘導することは可能なのか。
そして晃佑たちは彼らの死を止めることができるのか。
自殺願望者を取り込む美しい世界
博之の姉から彼の悲報を受けた晃佑はショックを受け、原因と思われるVRの調査を、友人の宙とともに始めます。
レーテを支える事務方担当の美弥子は調査を続けるべきではないと主張し、二人の間には気まずい空気が流れます。
一方、宙はかつて働いていたときのつてを頼り、VRに流れていたソフトを作るために必要となる技術を持つ人物などを調べます。
すると、現在足取りがつかめない人物が…。
一方、浪人生のくるみは嫌なことがあると自分の足をカッターナイフで切りつける自傷行為をしています。
ツイッターの病み垢で「死にたい」とつぶやいたところ、フォロワーからネット上の自助グループ「銀色の国」へ参加しないかと誘われます。
VRゴーグルを装着して訪れる「銀色の国」は、銀色の光にあふれた美しい世界。
自分の部屋を与えられ、ペットの世話をし、与えられたミッションをこなしていくくるみですが…。
まとめ
自殺を止めるための活動と、VRがどのように人間に影響を与えていくのかが同時に進行していきます。
心理をコントロールし誘導していく「悪」の側と、ひたすら救うために走り回る「善」との対決でもあります。
生きづらさを感じる人々のそばには網を広げて支えてくれる人がいる。
そんな風に感じる、心に響くミステリです。
<こんな人におすすめ>
自殺を誘導するVRゲームを広めようとする悪意と戦う物語に興味がある
人が洗脳されていく様子をつぶさに描いたミステリを読んでみたい
逸木 裕 のファン
ナニコレΣ(゚ロ゚;)
このVRは世の中に出回ったら
ダメなヤツだよ(>人<;)!!
人の死をコントロールする
悪意と、彼らを生の世界に
留めるために奔走する正義との
戦いの物語でもあるのよね。
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