こちらは選ばれたメンバーが
同じ夢の中で生活するという
プロジェクトの中で起こる
殺人事件の真相を探るミステリよ。
同じ夢の中で生活って
可能なの?それで殺人事件って
夢の中で起こるのか?
それとも現実で?
脳内に極小のチップを埋め込むことで
メンバーは眠っている間に夢を共有できるの。
夢の中では何でもできるわ。
夢の中で死ぬことはないとされていたのだけど、
一人のメンバーが夢の中で死体として現れ、
現実でも死亡していることがわかったの。
なるほどね。夢の中の世界と
現実世界の関係性とルールが
鍵になりそうだな。
『プロジェクト・インソムニア』
結城真一郎 (著) 新潮文庫
あらすじ
睡眠障害ナルコレプシーのために職を失った蝶野は、中学時代の同級生・蜂谷から人体実験へと誘われる。
「プロジェクト・インソムニア」と名付けられたその実験は、選ばれた七名が九十日間夢の世界で毎晩生活をする、というもの。
この世界では望んだとおりのものを作り出すことができる理想郷。
夢の中で死ぬことはない。
そう説明を受け参加を決めたが、メンバーの死体が夢の中に現れる。
そして現実の世界でも死者が…。
一人、また一人と消えていく被験者たちの息の根を止めた犯人は誰なか。
そしてその方法と目的とは。
楽園の中に湧き出た悪意の正体とは
快眠サプリ「フェリキタス」のヘビーユーザーである蝶野のもとに案内が届きます。
それは眠っている間、理想の人生を生きられる「プロジェクト・インソムニア」への参加を誘うものでした。
蝶野の睡眠障害に何らかの効果があるのではと中学時代の同級生・蜂谷からすすめられた彼は参加を決意。
夢の世界「ユメトピア」の参加者は十九歳の大学生・ショータ、二十六歳の蝶野、老婦人のキョーコさん、金髪ギャルのカノン、妖艶な大人の女性モミジさん、無口で神経質そうな紳士・アブさん、セーラー服の女子高生・ミナエ、恰幅の良い中年男・ナメリカワの面々。
夢の中では自分の望むものを作り出せること、夢か現実かわからなくなった時は必ずその場面の中で舞う「胡蝶」の姿を確認すること。
映画の世界のように登場する敵を、武器を作り出して皆で攻撃したりと楽しんでいましたが、「この世界をひとり占めする」と仲間を撃ち殺そうとする人物が現れます。
メンバーの一人が夢の中で死体として登場し、お互い疑心暗鬼になるメンバーたち。
そして夢の中で死んだメンバーは現実でも死亡していることがわかり…。
まとめ
夢の世界で起こる事件を、限られた条件の中で推理しながら物語は進行していきます。
登場人物たちが抱える現実の世界と夢の中の理想の世界とのギャップは、彼らの闇をより深めてしまう原因となったのかもしれません。
夢と現実を錯綜させた殺人方法にも驚きますが、その動機には苦しみと悲しさを感じさせます。
ラスト1ページまで目が離せない驚愕のミステリーです。
<こんな人におすすめ>
願望が具現化できる夢の世界と現実の世界がリンクした殺人事件を描くミステリーを読んでみたい
夢の中で死ぬと現実世界でも死ぬという話に興味がある
結城真一郎のファン
なんと!!衝撃すぎる結末!!
登場人物たちの現実との
ギャップが…ヽ(; ゚д゚)ノ !
夢の中の非現実的な出来事と
現実世界での制限ある展開で
読者を惹きつけ、ラストまで
導くノンストップミステリね。
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