こちらはおひとりさま専用カフェ
喫茶ドードーシリーズの第二弾よ。
お客さんたちの悩みに効くメニューを
店主が提供するの。
もじゃもじゃ頭の店主のメニューは
どれもおいしそうだよな。
メニュー名にもひねりがあったような。
「(キミだけ)卵八個のオムレツ(正解)」
「傷つかないポタージュ」「きのうの
アヒージョ」などが登場するわね。
メニュー名だけでも気になって
店に入りたくなるな。このメニューは
客たちの心にどんな風に響いたんだろう。
『こんな日は喫茶ドードーで雨宿り。』
標野 凪 (著)双葉文庫
あらすじ
駅から続く坂を登り、横道を入ったところにあるおひとりさま専用カフェ「喫茶ドードー」。
髪がもじゃもじゃでひょろりと背が高い男性、そろりが店主をつとめるこの店には、がんばりすぎてお疲れ気味のお客さんがやってくる。
せっかちな性分で同僚の仕事ぶりに苛立ち、焦るあまりミスしてしまう。
何気なくかけられた言葉を素直に受けとれない自分が嫌だ。
幼馴染の出産で、子供がいない自分が存在する意味とは何なのかと思い悩む…。
そんなお客さんたちのために用意された「あなたの悩みに効くメニュー」で店主がおもてなし。
堅くこわばった心が美味しい料理でほぐれていくシリーズ第二弾。
あなたの悩みに効くメニューあります
勤続十二年の夏帆は未だ下っ端としてお茶の用意や雑用をこなす日々。
そんな中、頼りにしていた先輩が退職することになり、新たに女性社員・はづきが配属されます。
彼女の丁寧な仕事ぶりにせっかちな夏帆は苛立ち、慌てて仕事をした挙句、ミスしてしまいます。
そんな時、幼稚園の頃に先生にかけられた言葉「いつも工作で一番に出来上がるんですよ。でもちょっとお糊が剥がれちゃっていたり…」を思い出して嫌な気分に。
そんな時に訪れた喫茶ドードーの看板には、おすすめメニュー「(キミだけ)卵八個のオムレツ(正解)」とありました。
意味はわからないけれど、お腹がすいていた夏帆はこのオムレツを注文して…(君が正解のオムレツ)」。
まとめ
努力でどうにかなるもの、どうにもならないものなど、様々な悩みを抱えるお客さんたち。
そんな彼女たちに提供されるのは「君が正解のオムレツ」「傷つかないポタージュ」「時を戻すアヒージョ」「自信が持てるあんバタートースト」。
雨模様の心をそっと休ませたり、自分の中にある答えを見つけるきっかけをもらったり。
美味しいもので心満たされ、これから進むべき道へ踏み出すための力となる。
そんな心あたたまるメニューに癒され、元気をもらえる連作短編集です。
<こんな人におすすめ>
悩みに効くおいしいメニューを提供してくれるおひとり様専用カフェの話に興味がある
前作『今宵も喫茶ドードーのキッチンで。』を読んだ
標野 凪のファン
悩んでいるときに答えを出して
もらうんじゃなくて、自分から
気づけるきっかけを料理から
もえらえるってのがいいな。
一工夫された料理も名前も
お客さんたちの固定概念を
変える良いきっかけになるのかも
しれないわね。
前作『今宵も喫茶ドードーのキッチンで。』のイラストブックレビューはこちらからご覧いただけます。
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