こちらは会社に雇われた
家政婦の料理を食べるうちに
社員たちがそれぞれの問題に
向き合っていく物語よ。
会社に家政婦!!へえ〜。
どんな料理を作ってくれるんだ?
おにぎりや鳥の唐揚げ、
カレーうどんやハンバーガーなど
お店の料理というよりはホッと
できるようなメニューね。
なるほど。仕事の合間に
食べたら元気が出そうだよな。
社員たちはどんな問題を抱えて
いるんだろう?
『まずはこれ食べて』原田 ひ香 (著) 双葉文庫
あらすじ
多忙な日々を送るベンチャー企業の社員たちのために、CEOの田中は家政婦を雇うことに。
痩せて背が高く、がっちりとした顔立ちで白髪まじりの女性、筧みのりが事務所として使っているマンションの部屋を整え、食事を提供する。
豪華ではないがしみじみと美味しい筧の料理を食べるうち、社員たちは自分の問題に向き合っていく。
ささくくれた心に沁みるうまい料理
学生時代の同級生メンバー五人で立ちあげたベンチャー企業「ぐらんま」。
八年目を迎え、アルバイトも雇い多忙な日々を送る彼らはマンションの一室を事務所として使っています。
掃除などに手が届かず、食事を摂らないこともある社員たちを心配した田中が家政婦の筧を雇います。
夕食と夜食を担当する彼女の料理は、カレーうどん、おにぎり、鶏の唐揚げ、ハンバーガー、サラダなど、特別感はないけれど、じんわりと体に沁みこんでいくような味わい。
それを口にした社員やアルバイトは、つい筧に心の中にたまったものを話してしまうのです。
ハードボイルドな雰囲気を漂わせる筧の言葉に、スタッフたちはハッとしたり、違った目線で問題に向き合っていきます。
会社のメンバーたちの話を聞き、彼らの心と体のこわばりをほぐすような料理を作る筧ですが、彼女自身もある問題を抱えていたのです。
まとめ
素材から出る味を出汁として使ったり、調味料を最低限に使用することで、素材の旨みをしっかりと味わえる、体にやさしい料理。
その香りが湯気とともに読むものにまで漂ってくるかの描写に、思わずお腹が鳴ってしまいそう。
会社を立ちあげたメンバーがそれぞれ会社への思いとプライベートでの問題を抱えて疾走していますが、筧の料理は給水所の役割を果たしているようです。
渇いた心と体に筧の料理を取り入れ、新たな力を得て彼らは再び走り出していくのです。
少しずつ筧と社員たちの心の距離が近づくにつれ、彼らの見えなかった一面が明らかに鳴っていくところも、ミステリ要素がありドキドキします。
おいしい料理と人間ドラマを心ゆくまで楽しめる物語です。
<こんな人におすすめ>
おいしい料理が描かれた小説が好き
家政婦の作る料理で心を開き自分の問題と向き合っていく物語にに興味がある
原田 ひ香のファン
おお〜 なんとうまそうな…
どれもこれも食べてみたい!
そして筧さん、只者ではないと
思ってはいたが…(゚O゚;
料理には人の心を動かす
力があるわよね。特別な料理でも
ないけれど、家庭では出せない味、
というところもまた素直に味わえる
ポイントなのかもしれないわ。
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