こちらはスコットランドで
葬儀社を営むジムが亡くなり
妻、娘、孫娘たちがそれぞれ
トラブルに巻き込まれ生と死に
向き合っていく物語よ。
トラブル?いったいどんな?
妻は夫が長らくどこかへ毎月
送金を続けていたことを知るわ。
娘は自分が女として魅力を失って
いるのかと悩み、孫娘は友人が
失踪してしまうという事態になるの。
ありゃりゃ。家族の死の悲しみに
浸っている暇もないくらいだな。
三世代の女性たちはどうやって
この困難を乗り越えていくんだろう?
『ダークマター スケルフ葬儀社の探偵たち』
ダグ・ジョンストン (著), 菅原 美保 (翻訳) 小学館文庫
あらすじ
スコットランド、エディンバラで創業五百年目を迎えるスケルフ葬儀社は、十年前から探偵業も行っている。
経営者であるジムが亡くなり、書類の整理をしていた妻ドロシーは、毎月決まった金額が見知らぬ口座に振り込まれていることを発見し、ショックを受ける。
ジムの娘・ジェニーはライターの仕事がなくなり、実家に戻り家業を継ぐことに。
孫娘の大学生・ハナは行方不明となったルームメイトの捜索を開始。
三世代の女性たちがそれぞれの悩みや問題にぶつかりながらも、自分と向き合い、乗り越えて真相を見つけ出していくミステリ。
葬儀社の三世代の女性たちが挑む問題と謎
本人の遺言により、裏庭に仮設した焼き場で遺体を焼くのみ、というジムの葬儀を終え、妻・ドロシー、娘・ジェニー、孫・ハナの三代の女性たちは、それぞれが故人との思いを胸に、悲しみに浸っていました。
葬儀社の会計書類を見ていたドロシーは、毎月決まった金額がある口座に振り込まれているのに気付きます。
知人に協力してもらい調べたところ、振込先は十歳の娘を持つレベッカという女性。
ジムはこの女性と何か関係を持っていたのか?
ドロシーはレベッカの家へと向かいます。
ジェニーはバツイチで一人暮らしをしていましたが、契約を切られたため、実家へ戻り家業を継ぐことに。
葬儀の手伝いをしていたジェニーに、参列客から探偵業への依頼が入ります。
夫の浮気調査を頼まれ、尾行を始めるのですが…。
ルームメイトのメラニーが失踪し、捜索を開始したハナ。
しかし、調査を進めるほどに知らなかった親友の一面が明らかになっていきます。
関係者たちのよそよそしい態度も気になる中、衝撃的な知らせが入るのです。
まとめ
伴侶の喪失、バツイチ無職、ゲイ。
それぞれの世代ごとに悩みを抱える三人の女性たち。
葬儀社という環境の中、多くの生と死を見つめてきた彼女たちは、やはり各々の死生観を持って日々を生きています。
長年夫が自分にしてきた隠しごと、女であることから遠のいていく焦り、今だ存在する女性蔑視。
彼女たちはこうした苦しみや悩みを自分のものとして向きあい、それでも倒れることなく答えを探し続けます。
そうして彼女たちが見つけ出した真実は必ずしも幸福を伴うものではありませんでしたが、進むべき道を照らし出すかすかな光でもあるようです。
弱くて強く、時にムチャぶりを発揮する三人の女たちが生と死、そして謎に立ち向かうミステリです。
<こんな人におすすめ>
スコットランドを舞台に女三世代が謎に挑むミステリーを読んでみたい
家業が葬儀社である女たちの死生観を描いた物語に興味がある
未亡人、バツイチ、女性蔑視など世代ごとの悩みを抱えた女性を描く物語を読みたい
いやちょっとすごいな!!
みんな問題から逃げずに
立ち向かっていく姿がいい!!
葬儀社であることから彼女たちが
様々な死生観を持っているところにも
注目したいわね。スコットランドの
空気感も楽しめるミステリーよ。
本やイラストレビューが気に入っていただけたらポチッとお願いします。