こちらは死者たちが死後の世界で
自分たちが誰によって殺されたのかを
推理していくミステリーよ。
えっ!?全員死んでいる??
なんとも斬新な設定だな。
全員が誰かに殺されたわけ?
そうなの。彼らは生前の記憶を
失っているのだけれど、何者かに
喉を切られて死んだ、ということを
覚えているのよ。
記憶がないんだ!?
そんな中でどうやって犯人を
探っていくんだろう?
気になるぜ!
『クローズドサスペンスヘブン』
五条紀夫 (著) 新潮文庫nex
あらすじ
俺は誰かに首を斬られて殺された。
気がつけば海辺にいて、道の先には木造二階建の洋館が。
どうやらここは死後の世界らしく、洋館に集まった俺を含めた六人の男女は皆この屋敷で命を落としたようだ。
姿の見えない配達人から届く不思議な新聞により、どんな状態で誰が殺されたかの情報が明らかになっていく。
記憶を失った状態で天国屋敷へとやってきた彼らのうち、犯人は誰なのか。
そして自分自身はいったい何者なのか。
死後の世界で繰り広げられる特殊設定ミステリー。
自分たちを殺した犯人を見つけ出せ
刃物で首を斬られたのが最後の記憶。
首をかしげつつ洋館へ向かうと五人の男女がいました。
皆生前の記憶がなく、喉の切断により死亡したことだけは覚えているのだと言います。
なぜ自分たちは死んだのか、その理由が明らかになればこの屋敷から解放される。
そう考えた彼らは、毎朝ポストに届く新聞の情報をもとに推理を始めます。
内容は新聞というよりは週刊誌の記事のような文章で書かれており、現場の状況を詳しく述べていますが、被害者については明確に誰であるかはわからない表現となっています。
届くたびに現場の細やかな状況が明らかに。
見た目の特徴から名付けられた、ヒゲオ、ヤクザ、オジョウ、コック、メイド、ポーチらの六人は、それぞれに秘密を持ち、メンバーに疑いの目を向けながらも、真相を探るために思考を巡らせます。
そんな中、ヤクザの部屋から絶叫が響き…。
まとめ
登場人物は全員死んでいる。
舞台は死亡した現場である天国屋敷。
この中に殺人犯がいる…。
この驚きの設定には、さらによく練られた「条件」が存在します。
殺された状況を思い出そうとすると再び殺された体験を味わうが、またもとに戻る。
今の姿が生前のものと同じとは限らない。
希望するものがあれば大きすぎるもの、武器になるようなもの以外は何でも手に入る。
これらの制限や条件が、やがて明らかになる真相に大きな説得力をもたらします。
そして疑心暗鬼で互いを犯人ではないかと探っていた彼らが次第に打ち解けていく様子も興味深いものがあります。
天国で展開される推理劇は、まさにヘブンのような心地よさでラストを迎える後味の良いミステリーです。
<こんな人におすすめ>
登場人物が全員すでに死んでいるという設定のミステリを読んでみたい
天国を舞台に情報などの制限がある中、自分たちを殺した犯人を暴く物語に興味がある
斬新なクローズドサークルもののミステリを読みたい
えええええ!!
これはびっくり!!
条件といいトリックといい
第1級のエンタメミステリーだな!!
まさに天国を思わせる
美しいラストにも注目の
ミステリーよ。
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