こちらは大学一年生の青年の
幼馴染が遺体となって発見され
その死の真相を探る物語よ。
亡くなった幼馴染は
何か事件に巻き込まれるような
トラブルが起こっていたのかな?
幼馴染である彼女は複雑な
事情を持つ家庭なの。母親は
すでに亡くなっていて、弟は
祖父母と暮らしているのよ。
なるほど。そこに何かしらの
要因が潜んでいるのか?
気になるぜ!!
『マインドエラー』永山 千紗 (著) 文芸社文庫
あらすじ
大学一年の豊平章敬は二年から通うはずだったキャンパスが震災の被害に遭い、家に引きこもる日々を過ごしていた。
そんなある日、近所に住む同級生、果瑠に声をかけられる。
美容院の専門学校に通っているという彼女に髪を切ってもらいながら、章敬が耳にしたのは彼女の死への願望だった。
数日後、彼女は屋根裏部屋で遺体となって発見される。
彼女の死は自殺なのか、それとも…?
数年ぶりに再会した幼馴染の死
引っ越しの準備も済ませ、二年からの三陸キャンパスでの学びを楽しみにしていた章敬。
しかし、震災によりキャンパスが使える状態ではなくなり、二年生以上が東京キャンパスに呼び戻される事態に。
未来が切断されたような感覚を味わい、気力も食欲も失せてしまった章敬は引きこもり状態になってしまいます。
ある日、近所に住む幼馴染の果瑠に声をかけられます。
数年ぶりに合わせた顔に戸惑いつつ、屋根裏部屋へと案内された章敬。
美容師になるために専門学校へ通っているという彼女に髪を切ってもらいます。
以前働いていたレンタルビデオ店で再びバイトを始めた章敬は延滞者リストの中に果瑠の名を発見。
店員として督促の電話を何度もかけますが、連絡がつきません。
果瑠は自宅の屋根裏部屋で遺体となって発見されたのです。
自殺願望を語った果瑠。
果たして彼女の死は自殺なのか、それとも…。
まとめ
果瑠は高三の頃、ショッキングな事件により母親を亡くしています。
以降年の離れた弟は祖父母の家に越し、彼女は父親と二人暮らし。
世間から蔑むような視線を投げられながら、必死で自分の足元を築こうとしていた果瑠。
真面目な大学生、章敬は彼女と過ごした僅かな時間を胸に、彼女が死んだ理由を探ろうとします。
映画作品の残虐な行為と、それを見て自分の内面に何が起こっているか。
一つの思いにとらわれ、そこから逃れられなくなってしまった人間が親だった場合、どのような状態で子供は育つのか。
どこかで起こっていること、誰かが感じていることを目の前に具現化して差し出されたようでハッとします。
事件の真相が近づく展開もハラハラしますが、何よりも登場人物たちの痛みや苦しみ、そして立ち上がり歩いていこうとする姿に胸が熱くなる物語です。
<こんな人におすすめ>
機能不全な家族が抱える闇を写し出す物語に興味がある
生きるゆえの苦しみや切なさをを描いた話を読んでみたい
永山 千紗 のファン
これは…
いろんな形の苦しみや葛藤が
伝わってくるな。苦しくて
切ない…(TдT)
そんな思いを抱えながらも
顔を上げて歩いて行こうとする
若者たちの姿に胸がいっぱいになる
物語ね。
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