こちらは十八世紀のフランスを舞台に
何人もの女性を殺害した殺人鬼の
一生を描く物語よ。
うおお 殺人鬼!怖っ!!
そいつはなぜそんなにも
人を殺したんだ?
彼はとても優れた嗅覚の持ち主。
あらゆる匂いを嗅ぎ別け、そしてまた
調香師として思いのままの香りを
作り出すことができたの。そんな彼が
とても魅力的な匂いと出会ったのよ。
え、もしかしてその香りの
持ち主が殺され…?((((;゚Д゚))))
『ある人殺しの物語 香水 』
パトリック ジュースキント (著) 池内 紀 (翻訳) 文春文庫
あらすじ
十八世紀のパリ。
悪臭漂う世界に生まれ落ち、孤児として育ったグルヌイユ。
あらゆる匂いを嗅ぎ分けるその能力を買われ、香水調合師のもとで技術を学び、パリの人々を陶然とさせる香水を作り出す。
ある祭りの夜、流れ出る芳香に導かれたグルヌイユ。
それは処女の体臭であり、この香りを自分のものにしようとしたグルヌイユは少女の首に手をかける。
やがて香水や香油の生産・取引で知られるグラースの町へ。
ここでグルヌイユは運命の香りに出会う。
あらゆる匂いを嗅ぎわけ作り出せる男
パリの中でも並外れて濃厚な悪臭が漂う一角の魚屋の店先でグルヌイユは生まれました。
母親は魚屋で働いていましたが、仕事中に産み落とした赤子を放置し殺そうとしたとして逮捕されます。
孤児となったグルヌイユは施設で育ちます。
やがて皮なめし場で働き始めたグルヌイユは国王ルイ十五世即位記念日で町が賑わっている中、これまでに嗅いだことのない匂いを感じます。
かすかな気配を頼りにたどっていくと、一人の少女が果物の皮をむいていました。
この香りを自分のものにしたい、と強く感じたグルヌイユは背後から近づき少女の首に手をかけます。
そしてその香りを記憶にとどめるのです。
香りを作る仕事を学びたいグルヌイユは香水を調合するバルディーニのもとで働き、その手法を学びパリ中を熱狂させる香水をいくつか作り出した後、パリを出ます。
戦争の気配を感じ、人が来ない山中で数年を過ごし、下山した後は侯爵に引き取られ、実験の被験者となります。
ここでの生活の中で、これまで自分が持っていなかった自らの「体臭」を作り出すことに成功。
人々の反応を見てある確信を持ちます。
再び旅に出てグラースへとたどりついたグルヌイユは、あの時嗅いだ匂いに遭遇します。
今はつぼみの状態であり、花開けばもっと素晴らしい香りになるに違いない。
それまであと二年ほどか。
グルヌイユはその時のために準備を始めます。
まとめ
全身が鼻であるかと思うほどあらゆる匂いを嗅ぎわけ、それを再現できる男、グルヌイユ。
彼が求めたのはその瞬間に発せられる「香り」。
そのための周到な準備、冷静な遂行ぶりには背筋が冷たくなりますが、彼と彼の求めるものを理解できる人間いません。
どこまでの孤独なサイコパスを描く物語。
<こんな人におすすめ>
香りを見分け作り出す才能を持つ男の生涯に興味がある
香りを作り出すために女性を殺す殺人鬼の話を読んでみたい
18世紀のフランスを舞台にした、香りがテーマの物語を読みたい
すごい…!人と異なる能力を
持つからこそ、その望みも
誰にも理解されることはないんだな。
このラストも圧倒されて声が出ないぞ。
彼が香りの能力を持ち、さらに問題の
行動に出たのは、自分の中の空白の
部分を満たすためだったのかも
しれないわね。
本やイラストレビューが気に入っていただけたらポチッとお願いします。