こちらは衆議院議員の孫娘が
誘拐される事件を描く
サスペンスミステリよ。
なんと!!犯人の要求は
お金なのか?
身代金の要求はないわ。
『明日の午後五時までに会見を
開きお前の罪を自白しろ』
という要求なの。
お金じゃないの!?
しかも罪を自白とは。
政治家って叩けばイロイロと
ホコリが出そうだよなあ…。
『おまえの罪を自白しろ』 真保 裕一(著) 文春文庫
あらすじ
埼玉十五区選出で現在六期目となる衆議院議員・宇田清治郎の三歳の孫娘、柚葉が誘拐された。
犯人の要求は「明日の午後五時までに会見を開いておまえの罪を自白しろ」というもの。
罪とはいったい何を指すのか。
現在、ニュースで取り沙汰されている、ある事業の施工主と総理が旧知の友人であるという件に関係があるのか。
清治郎の次男であり秘書を務める晄司は、父の支持のもと様々な関係者と連絡を取り、父と彼らの政治家としての駆け引きを目のあたりにしながら柚葉を救い出すために奔走する。
議員の孫娘を誘拐した犯人の真の目的とは
衆議院議員、宇田清治郎の長男・陽一郎は埼玉県議、長女麻由美の夫、緒方恒之は地元の市会議員で、清治郎が引退した後の席を狙っています。
次男の晄司は政治を嫌い、「親父の後は継がない」と家族にも明言していましが、友人と興した会社の負債が膨れ上がり、父親に助けてもらうと同時に会社をたたみ、父親の秘書を務めることに。
そんなある日、麻由美の娘、晄司の姪にあたる柚葉が誘拐されます。
清治郎のHPの通信欄に書き込まれた犯人の要求は、指定した時間までに会見を開き、罪を自白せよ、というもの。
政治的にグレーな金銭の流れか、はたまた秘書を殴り、クビにした件か、それとも今話題となっている、埼玉県での公共事業を請ける会社の人間と現総理の関係に絡んでいるのか。
警察も慎重に聞き込みや現場周辺の捜査を行いますが、手がかりはつかめません。
清治郎側は官房長官らに助けを求めますが連絡がつかなくなり、どうやら回避されている様子。
腹を決め、指定時間に会見するための準備をはじめる晄司たちですが…。
まとめ
政治家の孫娘誘拐事件。
犯人の目的は怨恨か、それとも清治郎の政治生命を終わらせることか、あるいは現総理大臣を失脚させることなのか。
清治郎は政治家として協力の手を求めたり、相手からの提案を検討しますが、万策が尽き決死の覚悟で会見に挑みます。
政治の世界を嫌っていた晄司ですが、だからこそ見えてくる政治家の保身のためのやりとりに憤りを感じ、自分の目と足で柚葉を救い出そうと尽力します。
その手段として彼が選んだ人物とその内容はまさに彼が政治家として羽ばたく第一歩になることを予感させます。
サスペンスミステリーとして、また政治家たちのたぬきぶりを参照する社会派小説としても楽しめるハラハラドキドキの臨場感あふれる物語。
<こんな人におすすめ>
衆議院議員の孫娘が誘拐され「罪を自白しろ」と犯人から要求されるサスペンスに興味がある
誘拐事件をテーマに政治家の駆け引きを描く物語を読んでみたい
真保 裕一のファン
時間が迫る緊張感と
政治家や警察たちとの駆け引きに
ハラハラドキドキが止まらないぜ!!
政治のための政治に力を
入れる議員たちの中で
本当の政治とは何かという
ところに目を向けていく主人公の
姿にも注目のサスペンスミステリーね。
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