こちらは新卒採用の最終試験に残った
六人の大学生たちがグループディスカッションに
挑むのだけど、そこで互いの「秘密」を
晒されるようなアクシデントが起こるの。
ひええ 互いに足を引っ張り合うってこと?
例えばどんな「秘密」があったわけ?
人殺しだと告発されたり
女性を妊娠・中絶させた、
などといったことなどね。
人殺しだって!?
そいつは確実に内定は無理だろ。
それにしても一体誰がそんなことを…?
『六人の嘘つきな大学生』浅倉 秋成 (著) 角川文庫
あらすじ
IT企業「スピラリンクス」初の新卒総合職採用最終試験に残ったのは六人の大学生たち。
最終選考のグループディスカッションに備え何度も会合を重ね互いの信頼を高め合ってきた。
六人全員に内定が出る可能性もあったが、課題が変更され「六人の中から内定者にふさわしい一人を決める」と言う内容に。
議論の途中、全員分の封筒が見つかり、その一通を開けてみるとそこには内定者の一人を「人殺し」と告発する文章が。
残りの封筒の中には何が書かれているのか、これを用意した人間は何者なのか。
信頼していた仲間たちが抱えていた嘘
スピラリンクスの最終選考に残った波多野省吾は、六人全員に内定が出て欲しいと思いながら、メンバーたちとフループディスカッションの対策を進めていきます。
整った見た目とリーダーシップを持つ九賀蒼太、野球部出身で声も体も大きいムードメーカー袴田亮、モデルかと見紛うほど美人で英語も堪能な矢代つばさ、対照的に清純派の見た目でデータ分析に優れた嶌衣織、真面目でデータ収集に力を発揮する森久保公彦。
それぞれの良さを認め合い、チームワークを発揮して対策を重ねて迎えた最終面接。
テーマが変更され内定者は一名となり、このディスカッションでその一名を決めるというヘビーな内容に。
戸惑いつつも議論を始めた六人ですが、奇妙な封筒を発見。
一通を開いてみるとそこにはA4の用紙にある人物の写真と、その人物に関わる新聞記事がプリントされ、下部には「〇〇は人殺し」という記述が。
ともに仕事する中になるかもしれなかったメンバーたち。
彼らが抱えていた秘密とは何だったのか。
そしてこれらの情報を集め、この場で披露した人物の正体とその目的とは。
まとめ
前半は波乱の最終面接、後半は内定者が当時犯人として名乗りをあげた人物が遺したUSBメモリに記された「本当の犯人」を知るべく、当時の関係者と会い、話を聞いていく、と言う流れです。
信頼できる仲間たちがついていた嘘、そこからねじれていく感情や関係性が何とも苦々しい。
そして後半で明らかになっていく告発事件の真相とその目的には二重に驚かされます。
就活の狂気にとらわれた学生たちの姿を描く、一気読み必至のミステリーです。
<こんな人におすすめ>
就活の最終面接での激しい心理戦を描いた話を読んでみたい
就活をめぐる人間関係の構築と崩壊を描く物語に興味がある
浅倉 秋成のファン
こ、こんなことって…
確かに彼らは嘘つきだ。
そして暖かな涙が止まらないぜ。゚(゚இωஇ゚)゚。
就活の緊張感が彼らを
おかしな方向へと導いたのかも
しれないわね。中盤の緊張感と苦しさを
経てのラストは、切なくも暖かな気持ちに
満たさせるミステリーね。
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