こちらは人が死ぬ瞬間に
残す「ぎょらん」という存在に
関わる人々を描く物語よ。
「ぎょらん」?なんだそれ?
イクラのこと?それとも
とびっこ??
人が死ぬ瞬間、強く願ったことが
小さな赤い珠となって残るの。
この珠を噛み潰すと死者の願いが
共有できるのよ。
死者が何を願って死んだのかが
わかるのか。穏やかな死を迎えたなら
良いけれど、そうじゃない場合は…。
でも残された者には気になる代物
だよなあ。
『ぎょらん』町田 そのこ (著)新潮文庫
あらすじ
人が死ぬ瞬間強く願ったことが、小さな赤い珠となってこの世に残ると言う。
この「ぎょらん」と呼ばれる珠を噛み潰すと死者の願いが蘇り共有できる。
葬儀会社に勤める青年・朱鷺はこの都市伝説のような珠について調べ続けていた。
死者への後悔を抱えた者たちに、ぎょらんは何を見せ、伝えるのか。
喪失と悔恨の日々を送る遺された者たちの再生を描く物語。
死んだ者の思いがつまった珠を求めて
葬儀会社の新人・御船朱鷺は元ひきこもりの青年。
馴れない仕事に四苦八苦しながらも頑張っています。
そんな朱鷺は、以前漫画で読んだ「ぎょらん」の情報を集め続けています。
死者が死ぬ直前に強く願ったことが小さな赤い珠となって現れ、その珠を噛み潰すと死者の思いが蘇るというその「ぎょらん」は朱鷺がひきこもりとなった原因でもありました。
人の死を扱う葬儀社で、そのぎょらんを目にした遺族や葬儀社スタッフたちの話を耳にする朱鷺。
死んだ者へ伝えられなかったこと、傷つけてしまったまま途切れてしまった時間。
答えの出ない質問を投げ、受け取り手のいない謝罪をくりかえす残された者たちにぎょらんが見せたものとは。
まとめ
漫画の中に登場した、死者の死に際の思いの結晶である「ぎょらん」。
都市伝説的なその存在ですが、葬儀社という場においては様々な情報が集まります。
人づてに話を聞いた者、実際に目にした者…。
友人の死により心を閉ざしていた朱鷺はぎょらんについての情報を収集。
葬儀社で働くようになってからは、様々な死と遺族と関わり、ぎょらんやその意味合いについて考えを深めていきます。
死者が考えていたことは死者にしかわからない。
だからこそ苦しくもありますが、それでも大切な人が笑っている顔を思い出すことが自分にとっての救いにもなるのです。
大切な人の死に傷ついた心の再生を描く感動の物語です。
<こんな人におすすめ>
人が死に際に残す思いの結晶を描いた話に興味がある
死者への後悔を抱えた者たちが再生に向け歩き出す物語を読んでみたい
町田 そのこのファン
苦しい思いをしている人が
いっぱい出てくるけど…。
でも最後はあたたかな気持ちに
包まれるんだ…(இдஇ; )
死者からの答えはもらえないけれど
死者への向き合い方に希望を
もらえるような、感動の物語ね。
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