こちらは『始まりの町』で起こった
出来事を、四人の男女がそれぞれの
立場で語る物語よ。
『始まりの町』?おとぎ話っぽい
内容なのか?
13歳の少年・トゥーレの母親が
失踪したこと、そしてこの町の
人々が町で起こっていることに
目を向けないことでどうなって
いくかを描いているわ。
町のことに無関心…。
どっかで聞いたような話だな?
語っている人物たちは、そして
町の人々はどうなってしまうんだろう。
『彼らは世界にはなればなれに立っている』
太田 愛 (著) 角川文庫
あらすじ
ここは始まりの町。
ここで起こったことを語るのは、初等科に通う13歳の少年・トゥーレ、なまけ者のマリ、鳥打ち帽の葉巻屋、窟の魔術師の四名。
彼らがそれぞれの目で見た、彼らだけが知る真実は、やがて消えた人物と町が隠し持つ秘密へとつながっていく。
姿を消した母親の行方
トゥーレが学校から帰ると家に警察が来ていました。
仕事で出かけているはずの父が家に戻り、いなくなった母を捜すために警察を呼んだのです。
母さんを捜してみる、と言い残し家を飛び出したトゥーレは葉巻屋をたずね、博物館の警備員・怪力に話を聞きますが、彼らはわからない、と言います。
ドレスを縫う仕事をしていたこと、遠くの町から来て父に見初められ結婚した母は「羽虫」と呼ばれ町の人々から蔑まれていました。
そんなトゥーレの前に伯爵の養女コンテッサが現れ、数々の食べものを差し入れ、この町の政治と人々について話します。
そして二十年ぶりに客船がやってきたあの騒がしい夜、トゥーレは町の人々からはじめてむき出しの差別の感情を向けられます。
数日町に滞在した客船が発っていく姿の中でトゥーレが見つけたものとは。
まとめ
羽虫と呼ばれる、差別される人種に対し、町の人々は己の不満をぶつけていました。
民意を話し合う機会はなくなり、伯爵の決定事項に人々はただ頷くばかり。
そんな町を立て直そうと密かに計画する者、最下層で何とか自分を保ちながら生きる者、情報を収集する者、見守る者たちが登場し、それぞれの立場・考えで活動していきます。
外側から内側からゆるやかに崩壊していく町と、ある事件の謎がつながっていく、驚愕のディストピア小説です。
<こんな人におすすめ>
思考を止め、目の前の不満を差別することで解消する人々を描くディストピア小説を読んでみたい
崩壊していく町と一人の人間が消えた謎を描く物語に興味がある
太田 愛のファン
あああ 思考を放棄した
町の行く末がこうなるのか…
町の崩壊していく様子と
母親の失踪事件が思わぬ形で
重なっていく、驚愕のディストピア
小説ね。
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