こちらは食の好みが合う男女が
同居をはじめたことで発生する
三角関係を描いた物語よ。
食の好みが合うって大事だよなあ。
同居した二人は恋人ではないの?
これから発展するとか?
女性が住む京都の町家に男性が
間借りする形で越してきたのだけど
男性には交際している女性がいるのよ。
その彼女とは食の好みが合わないのよね。
なるほどね…。食の好みが合う、
同居している。となれば同居の二人は
恋愛関係に進んじゃいそうな気が…。
『さんかく』千早茜 (著)祥伝社文庫
東京のデザイン事務所を辞めて、京都の町家に越してフリーランスのデザイナーとして働く高村夕香。
かつて同じバイト先で一緒に働いたことがある伊東正和。
食の好みが合う二人は、時おり食事を楽しんでいたが、ふとしたきっかけで同居を始めることに。
正和には何よりも大好きな研究に夢中で取り組んでいる大学院生の恋人、中野華がいるが、同居のことを話し出せずにいた。
食と生き方とに揺れ動く男女の、三角関係未満の物語。
食から始まる三角関係未満の男と女たち
京都の町家で一人暮らしをしている夕香。
朝に土鍋でご飯を炊き、塩むすびにしてそれをほおばりながらパソコンに向かい仕事をします。
六つ下の伊東とはバイト先で一緒だったことがあるだけの関係ですが、偶然居酒屋で隣り合わせ、食や酒の好みが同じことが判明。
ちょうどいい距離を保ちつつ、二人で酒や食事を楽しんでいます。
ある日、伊東が酔いつぶれ、夕香は伊東を自分の家に連れて帰り介抱し、朝は伊東がくれた人参で炊き込みご飯やしりしりなどを作ります。
これをきっかけに夕香の手料理を目当てに彼女の家に通うようになった伊東。
アパートの更新の話題から同居することに…。
しかし、伊東は恋人の華に同居の話を伝えることができずにいました。
華は大学院で、昼夜問わず運ばれてきた動物を解体し保存する毎日を送っています。
もともと、まめに連絡を取れない二人でしたが、華は伊東の様子に違和感を覚え、彼を問いつめるのですが。
まとめ
日常の中でうまくいかないまま抱えている部分と、ごちそうではない、自分の「身」にしっかりとつながっていくような、心と体が安らぐようなごはんが日々の暮らしの中で存在しています。
食の好みが合うことはとても大事なことで、それだけで日々の暮らしが満たされたものになるのは間違いないかもしれません。
でもそれが全てというわけではないのかも。
しかし、香りや湯気まで漂ってくるような美味しそうな描写を目にすると、そこに引きつけられてしまうのもわかるなあと感じてしまう、美味しくて複雑なつながりを描く物語です。
<こんな人におすすめ>
三角関係未満の男女を描いた物語に興味がある
食の好みが合うことがその関係性に影響を及ぼす男女の物語を読んでみたい
千早茜のファン
食は大事!!でもそれが全てでは
ないんだ!!でもおいしい香りには
ついつい引き寄せられるよなあ。
様々なおいしい料理の描写には
思わずお腹が鳴ってしまうほど。
そして揺れ動く男女の心の機微を
ていねいに描いた物語ね。
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