こちらは妊娠、出産をめぐり
女性や夫婦の生き方や選択を
描く連作短編集よ。
これだけ多様性が世の中に
浸透してきたわけだからな。
産まないという選択も
珍しいわけではないんじゃないの?
生まれ育った地域や環境、
世代にもよるものなのかも。
本人たちは納得していても
親の世代は異なる場合もあるわよね。
そうだなあ。当人夫婦だけでなく
その家族とかの価値観が絡んでくると
またややこしくもなるんだよな…。
『私、産まなくていいですか』
甘糟 りり子 (著)講談社文庫
あらすじ
ホテルのウエディングプランナーとして働く今村美春は、夫の朋希の誕生日プレゼントに奮発してライカのカメラを用意した。
あまり喜んだ様子ではない朋希は、四十歳を迎えた今、子供がいらないという人生の選択に迷いが出てきた様子。
二人の意見はかみ合わず、子供のことが原因で離婚することに。
妊娠、出産をめぐる女性と夫婦の選択、生き方を描く。
子供は持たない、と夫婦で決めていたはずが…
鎌倉のホテルで、ウエディングプランナーとして働く美春は、夫の朋希が一目惚れした鎌倉の一軒家で夫婦二人暮らし。
デザイン重視で使い勝手は決して良いとは言えない家ですが、夫婦で話し合い、今後子供は作らないことを確認し、引っ越してきました。
朋希の四十歳の誕生日に彼が好きなカメラをプレゼントしますが、思ったような反応を見せない朋希。
四十歳という歳を迎え、この先も子供を持たないという選択で本当に良いのだろうか、と迷いが生じているのです。
子供は欲しくない、と一貫した意見を持ち続け、二人で確認したのに、と怒りを隠せない美春。
二人の関係が修復することは叶わず、二人は作ってもいない、産んでもいない子供のことが原因で離婚することに…。
まとめ
結婚していて子供がいない夫婦が何を思い、そして周囲の人間からどんな言葉をかけられているのかを描いていきます。
「子供を産まない」という選択をしただけで何故産まないのか、身勝手だなどと言われたりも。
産まない私、産まないことを選んだ私たち、という存在が世の中に自然に受け入れられるようになるには、もう少し時間が必要なのかもしれません。
人の数、カップルの数だけあるその人ならではの「幸せの形」を、笑顔で祝福できるような自分でありたい。
そんな風に感じられる物語です。
<こんな人におすすめ>
妊娠と出産をめぐる女性とそのパートナーの心の動きを丁寧に描いた物語に興味がある
子供を持つこと、夫婦であることの意味を考えさせられる物語を読んでみたい
甘糟 りり子のファン
子供を持つことが幸せだ、
という風に思わない人も
当然いるよな。世間はその声を
聞かないようにしているだけ
なのかもしれないな。
パートナーや子供のあるなし、
その性別など幸せを感じる形は
人それぞれなのよね。どんな形でも
祝福してあげられる世の中になると
いいわね。
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