こちらは『あきない世傳 金と銀』
シリーズの特別巻、下巻よ。
還暦となった幸、そして創業百年を
迎える五鈴屋を描いていくわ。
ひょえー 幸がとうとう
還暦に!!五鈴屋も創業百年とは
すごいことだな。そんでもって
幸と賢輔はどうなったんだ?
それは本店の後継の話でも
出てくるわ。幸が大坂へ
戻った後の菊栄や、江戸を離れた
幸の妹、結の様子も描かれているの。
ああ〜 結がどうしているのか
気になっていたんだよなあ。
幸への思いがうまく整理できる
ようになってるといいんだが…。
『幾世の鈴 あきない世傳 金と銀 特別巻(下)』
髙田 郁 (著)ハルキ文庫
あらすじ
昭和九年(一七七二年)、江戸で起こった「行人坂の大火」は多くのものを焼き尽くした。
大坂天満に本店を持つ呉服商「五鈴屋」。
江戸店を構えた店主の幸をはじめ、店に関わりのある人々を描いた物語。
八代目店主周助の迷いと決意、江戸に残り新たな流行を生み出すべく考え続ける菊栄、姉への嫉みと憎しみから抜け出せずにいる妹・結。
そして還暦を迎える幸が五鈴屋の「これから」を考えある決断をする…。
創業百年を迎えた五鈴屋は次の百年に向け歩き出す。
五鈴屋に関わる人々 それぞれの思いと人生
播磨国、赤穂郡の東の端、揖西との境。
故郷の摂津国津門村に似たこの地にぽつんと建つ旅籠。
夫の忠兵衛が主を務めるこの旅籠で、二人の幼い娘を育てながら汗を流して働く結。
心の中では、江戸の大店で過ごしたきらびやかな日が浮かび、こんなはずない、このままで終わっていいはずがない、と思っています。
かつて五鈴屋を追い込んだ忠兵衛も今やすっかり好々爺に成り下がり、上の娘・桂の賢さを目にするにつれ、姉・幸への憎しみを思い出しては苛立つ日々。
そんなある日、常連客からもらった紅に心が浮き立つ結。
旅人が酒席で放った「珍しい型紙でもあったら、一攫千金を狙えますやろ」という言葉に結は強く反応し、ある行動に出ます。
また、大坂の五鈴屋に戻り、夫である店主の賢輔を支える幸は還暦を迎えました。
子のない夫婦であるため、次の代をまかせられる人物を慎重に見極めていきます。
そんな折、奉行所から役人が。
長らく店主と話し込んでいたその内容は御用金についてでした。
二人が考え、出した決断、そしてそれを知った店のものたちの反応とは。
まとめ
還暦を迎え、賢輔と手を取り、売り手と買い手の幸せにつながる道を探り続ける幸。
しなやかで強く美しい菊栄を面白そうに見守る惣次、九十二歳でも達者に働くお竹。
皆が元気に歳を重ねていく姿は何よりですが、江戸から去った結が葛藤を抱えながら己の問題に気づいていく様子に胸をなでおろします。
それぞれの人生がなんと多くの荒波を越え、また多くの彩に溢れていたことか。
多くの感動を与えてくれたシリーズ最終巻です。
<こんな人におすすめ>
呉服商『五鈴屋』ゆかりの人々の「その後」を描いた物語を読んでみたい
『あきない世傳 金と銀』シリーズのファン
髙田 郁のファン
時が解決してくれることも
あるよなあ。もう誰も彼もが
魅力的すぎてまだまだ彼らの
人生を見ていきたいって思うな。
商売に人生を捧げた幸と
彼女を支える人々の
人間模様を描いた物語。
特別巻上下を含め全15巻に
なるけれど繰り返し読みたくなる
シリーズね。
『契り橋 あきない世傳 金と銀 特別巻(上)』のイラストブックレビューはこちらからご覧いただけます。
『あきない世傳 金と銀』シリーズのイラストブックレビューはこちらからご覧いただけます。
本やイラストレビューが気に入っていただけたらポチッとお願いします。