ひと目でわかる!イラストブックレビュー
『緑陰深きところ』遠田 潤子 (著)

のこ
のこ

こちらは実の兄を復讐するために

向かっていた男性がその道中で

若者と出会い共に旅をする物語よ。

ぬこ
ぬこ

復讐とは穏やかじゃないな。

いったい何があったんだ?

のこ
のこ

将来を誓い合った女性がいたのだけど

家庭の事情で兄と結婚し、子供も

生まれたの。でもその兄が妻と子供と

妻の父親を殺害。刑務所に入っていたの

だけど、出所して普通に生活していたようよ。

ぬこ
ぬこ

うわあ。一家惨殺か…。

しかしそんなヘビーな旅に同行する

若者っていったいどんな奴なんだ?

『緑陰深きところ』遠田 潤子 (著)小学館文庫

あらすじ

母と子、義父が殺害された現場である廃病院で独り暮らしをしている絃二郎のもとに、一通のハガキが届いた。

それは達筆な兄によって漢詩の一文が書かれていた。

自身の妻と娘、そして妻の父を殺害し、刑期を終えのうのうと暮らしている兄。

彼の妻を絃二郎は愛し、彼女もまた絃二郎を待ち続けていた。

絃二郎は兄を殺すことを決意し、彼女との思い出の車を手に入れ兄が住む大分へ向かう。

しかし、一文無しの金髪の若者・リュウと出会い共に旅することになる。

旅をする中で見えてきた互いの人生と行き着く先とは。

事情を抱えた男二人の旅

父親同士が戦時中に固い絆で結ばれ、その縁で兄・征太郎の婚約者として花嫁修行にやってきた睦子。

齢の近い睦子と絃二郎は惹かれ合い、家族に結婚の許しを得ようとしますが、互いの親に反対されます。

駆け落ちの後、しばらく幸せな二人の時を過ごしますが、父親のために睦子は征太郎と結婚することを決意。

娘も生まれますがその数年後、事件は起こります。

現場となった家で睦子がいた気配を感じながら独りで暮らす絃二郎のもとに一通の葉書が届きます。

刑期を終えた兄からのもので、絃二郎は己の怒りが一気に噴き出すのを感じ兄を殺すことを決意。

睦子との思い出がある車、コンテッサを入手しいざ出かけようとしたところ、一人の金髪の若者に出会います。

リュウと名乗る若者は絃二郎にコンテッサを売った販売店にいた人物で、とんでもない車を売ってしまったので運転しないでほしい、と言います。

リュウも何やら事情を抱えているようで、成り行き上二人は大分までの旅に共に向かうことになり…。

まとめ

愛するものの命を奪われ、心を閉ざし生きてきた絃二郎。

謎多き金髪の青年・リュウが背負ってきたものの重さにも思わず息を呑みます。

壮絶な人生を送ってきた二人の男が少しずつ気持ちを開き、寄せ合っていく様子に胸が熱くなります。

旅から生まれたのは長く失っていた相手を思う気持ち。

それに気づくことができたのなら、人生は案外悪くない。

そんな感動の思いに満たされる物語です。

<こんな人におすすめ>

愛するものを失った男と金髪の若者が車で旅をする物語に興味がある
苦しみの中で生きてきた彼らにとっての喜びや絆を描いた話を読んでみたい
遠田 潤子のファン

ぬこ
ぬこ

こんな極限とも言える状況から

生まれる絆ってあるんだなあ。

のこ
のこ

二人で旅をするうちに

憎しみと悲しみが少しずつ

別のものに変わっていったのかも

しれないわね。

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