こちらはある地下施設に
閉じ込められてしまった一行が
内部で起こった殺人事件の
謎を解こうとするミステリーよ。
へえ〜。地下施設。
出て行って警察呼ぶとかは
できないわけ?
出入り口が塞がれてしまっていて、
さらに地下からは浸水が進んでいて
タイムリミットがあるの。そして
一人が犠牲になれば全員が脱出できる
可能性があることがわかるの。
じゃあ 犯人に犠牲になってもらえば
いいじゃん!とはいえ拒否されたら
全員が閉じ込められたままになるのか…。
『方舟』夕木 春央 (著)講談社文庫
あらすじ
仲間たちとともに山奥の地下施設へとやってきた柊一。
日も暮れてきたため、この建物の中で一泊することになった一行だが地震により出入り口が塞がれてしまう。
さらに地下から水が流れ水位は上がっていく。
そんな中、殺人事件が発生。
一人を犠牲にすれば脱出できるという状況の中、犯人を見つけ出しその役を担ってもらおう。
犯人以外の全員がそう思っていたのだが…。
閉じ込められた地下施設で起こる殺人事件の犯人は
大学時代の友人・裕哉の親父さんが所有する別荘に集まったのは学生時代によく遊んだ六人。
柊一、裕哉、隆平、麻衣、花、さやかのメンバーに加え柊一の従兄の翔太郎が参加。
裕哉の「おもしろい場所がある」という言葉につられて山奥へとやってきた一行。
地下施設をようやく見つけた頃には日が暮れていたため、ここで一晩を過ごすことに。
施設は地下三階で船のような造りになっており、出入り口は地下一階。
非常口のような通路が地下三階にあるものの浸水しており使えない状況です。
そこへ山を歩いていて迷い込んだという、高校生の息子と両親の三人家族が合流します。
大きな音に目を覚まし、現場へ向かってみると大きな岩が出入り口を塞いでいます。
岩を動かし脱出するには巻き上げ機会を使いますが、それを作動した人が出られなくなるのです。
そして地下三階の浸水は進んでいて、数日で全体が水没してしまいます。
そんな中、裕哉が地下一階の一室で死体となって発見されます。
皆が助かるためには犯人を見つけ出し、その人物に犠牲になってもらえばよいのではないか。
誰もがそう考え、互いを疑う緊張感が漂う中、またしても殺人が起こります。
完全浸水のタイムリミットまでに真犯人を探し出し、彼らは地上へと戻れるのでしょうか。
まとめ
地下施設という密室で浸水までに脱出するという条件付きのミステリーです。
おまけに殺人の方法や残された状況にも多くの謎が発生します。
知人や新たに紛れ込んだ者への疑心、自分が狙われるのでは、といった恐怖で心の安定が乱れるメンバーたちの中、柊一の従兄の翔太郎は冷静に物事をとらえ観察し、推理を進めていきます。
そして犯人の正体と手口に驚きますが本当のクライマックスはラストシーン。
この衝撃はなかなか味わえません。
トリックやアリバイ、設定に感心していいるとラストで「えっ!!」と思わず叫んでしまう本格ミステリーです。
<こんな人におすすめ>
地下施設で起こる密室連続殺人事件を描いたミステリーに興味がある
タイムリミットが迫る中、不可解な状況で起こる殺人の推理と登場人物たちの心理を描いた話を読んでみたい
夕木 春央のファン
は!? え!? ちょ…
ええええ〜〜〜!?
そのラストなのか!!
トリック、心理戦など
様々な角度から楽しめる
予測不可能なミステリーね。
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