こちらはいろんな状況で
生き物を飼う人々を描いた
四つの物語よ。
ふうん?
犬とか猫とかかな?
イボタガ、イエアメガエル、
ウーパールーパー、ツマグロ
ヒョウモンなどね。
えっ…∑(゚Д゚)
ど、どういういきさつで
飼うことになったんだろう。
『飼う人』 柳 美里 (著) 文春文庫
あらすじ
職場で知り合い、結婚して10年になる夫婦。子供はいない。
妻はベランダの鉢に止まっている毛虫を発見し、飼うことにした(「イボタガ」)。
建てつけの悪い家に住む母と息子。花や木、生物など、様々な生き物を育ててきたのだが(「イエアメガエル」)。
ほか、ギリギリのところで暮らす人々と、彼らが「飼う」ものと交流を描く4つの物語。
ベランダにいた毛虫を飼い始めた妻
結婚したらすぐに子供ができるものと思っていたが、恵まれないまま10年がすぎました。
夫婦らしい会話もほぼ成立しない毎日。
そんなある日、妻は毛虫を見つけ、調べてみるとイボタガの幼虫であることがわかります。
毎日葉を与え、モリモリと食す姿を眺め、その成長ぶりを楽しみにしていたのですが(「イボタガ」)。
被災地へと引っ越してきた母と息子。家は傾き、あちこち傷んでいます。
高校浪人中の息子は、心身の調子を崩す母を心配しつつ、気づかぬうちに心にふたをするようになっていきます。
そしてある日、息子は飼っていたイエアメガエルの様子がおかしいことに気づくのです(「イエアメガエル」)。
まとめ
崖っぷちに立っているかのような彼らにとって、「飼う」行為とは落ちることへのストッパーであり、踏ん張って立ち続けるための「救い」でもあるのかもしれません。
<こんな人におすすめ>
ギリギリのところで生きる人々を描いた話を読みたい
飼うことと生きることにフォーカスした物語に興味がある
柳 美里のファン
飼うことでギリギリ
自分を保っていられるのかも
しれないなあ。
人間以外のものが食べ、動いて
いるのを見て自分が「生きている」ことを
改めて感じられるのかもしれないわね。
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