こちらは大学の腐敗人事と
男女の愛憎劇を描いた物語よ。
おお〜 ドロドロしていそうだなあ。
松本清張というと昭和40年代頃の話?
初版は1972年、昭和47年ね。
その頃の男女の価値観や、
仕事における地位の意味合いなど
当時の様子もよくわかるわね。
50年近く前の作品が新装版となって
また新しい世代に読み継がれて
いくのも、すばらしいことだな。
『葦の浮船 新装版』 松本 清張 (著) 角川文庫
あらすじ
大学の助教授を務める小関はこれといった業績もなく、見た目も野暮ったい。
一方、同僚の折戸は秀才型で著書も何冊も出しているし、スマートな容貌で女性からも人気がある。
折戸は知り合った人妻と不倫関係になるが、自身の教授の椅子が目前となり、相手のことを面倒に感じる。
さらに小関が好感を持つ知り合いの女性にまで手を出そうとするのだが。
友人であり同僚である二人の関係
小関と折戸は長い付き合いで、性格は全く違うのですが、折戸の高飛車な部分も優秀な才能もまるごと小関が認めていて、彼の頼みを聞いてあげています。
例えば、地方で学会があると女性との旅行もついでに設定する折戸のアリバイ作りに協力してあげたり。
そんな小関はある寺で資料となる古文書を見せてもらった時、一人の女性と知り合います。
知的で気の利くこの女性のことを気にかける小関ですが…。
動き出す人事ともつれる女性関係
一方大学では主任の浜田教授が折戸を教授にしようと推していました。
折戸は不倫相手の人妻の思いが重荷となり、このタイミングで別れようとしますがなかなかうまくいきません。
そこで小関に、人妻を説得するように頼みます。
そのうえ、小関が気になっている女性にまで手を出そうとするのです。
まとめ
パッとしないけれども、どこまでも誠実な小関と、人生イージーモートで傲慢な面を持つ折戸。
ねじれた二人の奇妙な関係と、実力以外の力が作用する腐敗人事が絡まり複雑な人間模様を描き出す、読み甲斐のある物語です。
<こんな人におすすめ>
大学の腐敗人事を描いた話に興味がある
複雑に絡む権力争いや男女の愛憎を描いた話を読んでみたい
松本 清張のファン
折戸は顔も頭も要領も良くて
腹が立つな。でも人から信頼を
得るのは小関みたいな人間だよな。
折戸と小関は共依存のような
関係にあったのかも。その関係が
変化していく様子や、小関が下した
決断に注目の物語ね。
本やイラストレビューが気に入っていただけたらポチッとお願いします。