こちらはロンドンに留学中の
漱石がなんと自分をホームズだと
思い込んでしまう、というお話よ。
ええつ!?なんでまた!?
本家からもクレームが
来そうだけど?
ところがホームズも了承済みなの。
そこでワトスンが漱石に付き合うのだけど
彼らが参加した降霊会で殺人事件が起こるの。
ほほう!ホームズ気分の
漱石は事件を解決できるのかな?
『吾輩はシャーロック・ホームズである』
柳 広司 (著) 角川文庫
あらすじ
「ワトスン君、僕だよ」と部屋に入ってきたのは、背の低い、痩せた、貧相な体格の男。
彼は日本からの留学生、ナツメ。
彼はどうやら自分のことをホームズだと思い込んでいるらしい。
別件でロンドンを離れているホームズも了承済みのようで、自分の留守の間、ナツメをホームズとして扱ってほしい、と手紙で知らせてきた。
ワトスンは自称ホームズのナツメとともに降霊会に参加するが、そこで殺人事件が発生する。ナツメは事件の謎を解くことができるのか?
留学のストレスから名探偵と思い込む
留学中のストレスから、なんと自分をホームズだと思い込むようになってしまったナツメ。
ワトスンと参加した降霊会で、霊媒師が毒殺されます。
ホームズの口調や仕草を真似ながら、推理を働かせるナツメですが、今ひとつ決まりません。
気になる女性といっしょに出かけるために自転車の練習をしては転びまくったり、少々思い込みが過ぎたりと、格好悪いのですがどこか憎めないキャラクターとして描かれています。
そしてナツメが思いを寄せる女性は実はホームズと深い因縁があったのです。
まとめ
ホームズやワトスン、レストレード警部など、これまでホームズの作品を読んだ方にも違和感なくその発言や行動を楽しめます。
その彼らと思い込みの激しい、少々困った日本人・ナツメとのミスマッチぶりは秀逸。
コミカルであったり、学者として造詣の深い部分をチラリと見せて「やはり漱石だ!」とハッとさせられたり。
ホームズ、漱石、どちらのファンにも、またそうでない人にも楽しめるミステリーです。
<こんな人におすすめ>
自分をホームズだと思い込んだ漱石を描いた物語に興味がある
漱石が名探偵になったらどんな感じになるのかが気になる
柳 広司のファン
まあ、一朝一夕に名探偵、という
わけにはいかないよな。ちょっと
お間抜けな漱石がまたおもしろい。
漱石ファンにとっても
ホームズファンにとっても
楽しめる物語ね。
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