こちらは幕末から昭和にかけて
人生を燃焼させた人々の姿を
描く9つの短編集よ。
幕末から昭和かあ。
たとえばどんな人物が登場するんだ?
ソメイヨシノを生み出した
人物や、作家などね。
へえ〜。あの見事な桜が
生まれたのにはどんな背景が
あったのかな。気になるぜ。
『茗荷谷の猫』 木内 昇 (著) 文春文庫
あらすじ
武士の身分を捨て、植木職人となり、これまでにない桜を作り出そうとした徳造。
しかし、妻のお慶の様子が変わってきて…(「染井の桜」)。
一人で暮らす画家の文枝。ある日、庭の物置の床下に猫が棲みついた。
思うように絵が描けなくなっていた文枝は夫のこと、猫のことに思いを馳せる(「茗荷谷の猫」)。
幕末から昭和にかけて、各々の人生を燃焼させた名もなき人々の姿を描く9つの短編集。
武士をやめて植木職人になった男
草木をいじることが好きだった徳造は、祖父の代で得た身分を売り、植木職人になりました。
その腕前は見事なもので、なおかつ丁寧で腰の低いこともあり、周囲から一目置かれる存在に。
ただ、妻のお慶は武士の娘に生まれ、町人の暮らしになじめず、ただひたすら縫い物をしています。
無口で無愛想な妻では、徳造が気の毒だと言う周囲に、「あれはいい妻だ」とかばう徳造。
そして、彼はある願いをこめて、これまでになかった桜を作り出そうとします。
完成した桜に自分の名前を入れることもなく、掛け合わせの方法も聞かれるとあっさりと教えてしまう徳造を、周囲の人間は諌めるのですが(「染井の桜」)。
まとめ
夢を追い続ける者、深い喪失から見つけ出す者、闇に囚われそうになる者。
濃厚な時間の中で絶望と希望をくりかえし、必死に生きていく人々の姿が描かれています。
ひとつひとつの作品を、じっくりと味わいながら読みたい短編集です。
<こんな人におすすめ>
夢を追い、夢に敗れながらも生きる人々を描く話を読んでみたい
己の人生を全力で燃やし続けた人々を描いた物語に興味がある
木内 昇のファン
な、涙が止まらない〜〜。・゜・(ノД`)・゜・。
ただひたすらに、何かを追い続けて来た
人たちの、情熱と悲しみとを描き出すの。
味わうようにじっくりと読みたい物語ね。
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