こちらは『巡査長 真行寺弘道』や
『DASPA 吉良大介』シリーズにも
登場するハッカー、黒木が主人公の
お話よ。今回は熊野古道に現れるの。
黒木!
スマホやPCがあれば侵入できない
場所はない、無双ハッカーだな。
シリコンバレーあたりが似合いそうだけど
なんでまた熊野古道に?
伝統工芸職人にスピーカーを
作ってもらおうとしたらしいわ。
そこである人物と知りあい、
伝統芸能に対してあるアクションを
起こしていくことになるの。
ハッカーと伝統工芸?
妙な組み合わせだな。黒木のことだから
きっと何かあるに違いない!
『マネーの魔術師-ハッカー黒木の告白』
榎本 憲男 (著)中公文庫
あらすじ
和歌山県の熊野古道に現れた、世界を股にかける天才ハッカー黒木。
桐だんすを作る職人のもとで伝統工芸の研究をしている大学院生・柴田澪にある提案を持ちかけます。
驚くようなその提案内容に、黒木の意図がつかめずに戸惑う澪。
黒木が世界に向けた目論見とは何なのか。
金融資本主義と廃れゆく伝統工芸が絡まり展開していく、怒涛のエンターテイメント小説。
天才ハッカー黒木が伝統工芸に向けた思惑とは
その才能を認められ、CIAで働いた経験も持つ黒木。
ふらりと姿を見せ、仕事を終えるとまた別の国へと向かう暮らしぶり。
そんな黒木が熊野古道に現れ、桐だんすを作る職人の工房でスピーカーを発注した後、近くの空いている古民家に住みはじめます。
職人の家に足しげく通い、伝統工芸の研究をしているという澪と出会い、二人は酒を酌み交わしながら廃れゆく伝統工芸について議論します。
高度な金融プログラムにも関わり、かつてのリーマンショックも経験している黒木は、伝統工芸の価値を上げていくための活動に、多額の資金を提供する、と澪に持ちかけます。
一方で、公安に追われる身の黒木は、澪の知人による通報で地元警察が動き出す事態に。
黒木の思惑は遂行されるのか。そして逃げ切ることができるのか。
まとめ
軍事開発の一端を担い、情報だけでその価値が大きく変わる金融工学の世界にも身を置いた経験を持つ黒木は、ものごとの「価値」について思考を巡らせます。
変化の激しい時代の中で手をかけられた工芸品を、正しい「価値」を持たせ、残していく。
これこそ現代に必要とされるものなのかもしれません。
<こんな人におすすめ>
金を自由に操る天才ハッカーが日本伝統工芸にどう関わるのか興味がある
『巡査長 真行寺弘道』『DASPA 吉良大介』シリーズのファン
榎本 憲男のファン
黒木や真行寺が登場する、関連シリーズ『巡査長 真行寺弘道』
のイラストブックレビューはこちらからご覧いただけます。
天才ハッカーの思惑はさ
深いんだよな〜〜!!
それに黒木の過去がさすがだな。
情報だけで動いていく実態のない
金融世界と、確かな腕と物が存在する
伝統工芸。これからの私たちは何を信じ
どのような価値観を持って生きていくべきかを
問いかけられているかのような物語ね。
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