こちらは妻と息子が転落死した事件で
妻からの手記が明らかになったことで
夫が容疑者として拘束されてしまうの。
この一家の様子を関係者たちが自分の
主観で証言していくというミステリーよ。
ほほう。夫が容疑者に?
妻の手記にはなんて書いてあったんだ?
夫が自分の実家からの遺産を
狙っている、問題を抱える息子に
困っている。私と息子が殺されたとしたら
それは夫の手によるものだ、という内容よ。
あら〜。それは警察も無視できない内容だな。
まあ、当然裏付け捜査をするんだろうけど。
周囲の人たちが彼ら一家をどう見ているのかが
気になるな。
『敗者の告白』深木 章子 (著) 角川文庫
あらすじ
山梨県にある別荘のベランダから会社経営者である本村弘樹の妻・瑞香と八歳野息子・朋樹が転落死した。
弘樹は無実を主張するが容疑者として拘束される。
瑞香と面識のあった女性編集者へ送られた瑞香の手記、弘樹や関係者の証言は食い違い、事件は思いもよらぬ様相を見せはじめる。
朋樹の弁護人である睦木怜が辿りついた真相とは。
食い違いを見せる関係者たちの証言
瑞香と朋樹の死後、ある女性編集者のもとに一通のメールが届きます。
それは瑞香からのもので、自分と息子が死ぬようなことがあれば、それは夫の弘樹によるということ、彼が自分の実家の遺産を狙っていたことなどが綴られていました。
容疑者として逮捕された弘樹の証言は、瑞香が自分と朋樹を殺そうとした、というもの。
理由は朋樹のある行為を持て余して、ということでしたが…。
別荘の隣家に住む友人夫婦、瑞香を担当する税理士事務所の所長と新人税理士。
彼らの証言は、瑞香の手記の内容とも、弘樹の供述とも食い違う部分が出てきます。
誰が、どんな嘘をついているのか。
そして弘樹の担当弁護士・睦木怜が辿り着いた真実とはどんなものだったのか。
まとめ
全てが関係者の語りだけで構成されたミステリー。
妻と夫の全く異なる主張。
そして周囲の人間から見た弘樹、瑞香、朋樹の家族の姿。
それは大きく異なるようでもあり、また異なることなく、当事者は素直に振舞っているようにも見えます。
巧妙に仕掛けられたトリックとその犯行動機に、大きな衝撃を受ける、予測不能なミステリーです。
<こんな人におすすめ>
関係者の証言だけで構成される物語を読んでみたい
衝撃のラストが待ち受けるミステリーが好き
深木 章子のファン
これは…!!この動機は
見抜けないぜΣ(゚口゚;
それにしても人によってこんなにも
見方って変わるものなのか…。
そこまで考えた犯人は恐ろしくもあり
また悲しくもあるな。
関係者の証言だけで構成されているのが
また、事実関係をあやふやにさせるのよね。
家族の真実は外から見たらわからないもの
なのかもしれないわね。
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