こちらは若い女性が射殺される
事件と企業への脅迫事件が
思わぬ形でつながりを見せる
ミステリーよ。
若い女性と企業への脅迫?
どんなつながりだが想像も
つかんけど。誰が事件を追うんだ?
フリーの事件記者、美智子よ。
彼女は殺された女性たちの共通点や
企業への脅迫事件の取材を重ね
粘り強く真相を探っていくの。
記者かあ。雑誌記者とかだと
結構ゴリゴリな取材をかけそうな
イメージあるけど。彼女はどうなんだろう?
『蟻の棲み家』望月諒子 (著) 新潮文庫
あらすじ
中野区の路上で若い女性の射殺死体が発見された。
四日後、再び中野区のアパートでも若い女性の射殺死体が…。
フリーの事件記者である木部美智子は、この連続殺人と、かねてから取材していた企業恐喝事件との間にあるつながりを見つける。
やがて第三の殺人を予告する脅迫状が企業やテレビ局に届き、事件は大きく動き出す。
連続殺人事件と企業脅迫事件の関係とは
フリーランスのライターであり、雑誌「フロンティア」の看板記者である美智子は、ブラック企業と呼ばれる食品会社の工場長が悪質なクレームを受け、私費で対応しているという話の取材を続けていました。
そのクレーマーと同じと思われる人物が、パート従業員の娘を誘拐した、身代金を払え、という連絡をしてきました。
工場長は該当者もなく、本社には放っておけと言われたため、犯人からの電話に「本社に電話してくれ」と答えます。
犯人はキレた様子だったのとのことですが…。
誘拐された女性を調べ、母親をたずねた美智子。
母親から出た言葉は「子は選べないって言うけど、親だって子は選べないんですから」というもの。
また、射殺された二人の女性の身元が明らかになると、貧困と崩壊した家族の姿が浮き彫りになっていくのです。
まとめ
警察に仁義を通しつつ情報を得、時に情報を提供し、関係者に取材をしながら事件の真相へ迫っていく美智子。
被害者や事件に対する報道のあり方に納得のいかない部分を抱えながらも、自身の目と足で人の内部に近づき、事件の裏に隠されたものを取り出します。
貧困と家族の崩壊が悲劇の連鎖を生み出す、痛いような衝撃を受ける物語。
<こんな人におすすめ>
貧困や虐待などの負の連鎖が生む悲劇を描いた物語に興味がある
悪人とは、罪とはなんなのかを問うような物語を読んでみたい
望月諒子のファン
負の連鎖か…。救われない
人物のオンパレードだな。
その中で冷静に取材を続け
目的を持って読者に記事を届ける
美智子の記者魂はすごいな。
悪意や犯罪にもいろいろあるわね。
そしてそれらがどのような結果に
つながっていくのか、誰にも
わからないのかもしれないわ。
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