こちらは「少年検閲官」に続く
物語よ。旅を続ける少年・クリスは
オルゴール職人たちが住む島で
次々と起こる殺人事件に少年検閲官の
エノとともに挑むの。
ほほう。本の存在しない世界の話だよな。
今度は島で起こる殺人事件なのか。
そうなの。この島から逃げてきた
喋れない少女・ユユが大きな鍵と
なっているようよ。そしてここで起こるのは
「不可能連続殺人事件」なの。
なに!?不可能連続殺人事件?
孤島で起こることといい、
ミステリ好きにはたまらない設定だな。
楽しみだぜ!!
『オルゴーリェンヌ』北山 猛邦(著) 創元推理文庫
あらすじ
『焚書法』により、世の中からあらゆる書物が姿を消した世界。
十四歳の少年クリスは『ミステリ』作家を目指し、旅を続けていた。
オルゴール職人たちが住む海上の洋館を訪れたクリスは、職人たちが不可能な状況で次々と殺されていく事件に巻き込まれる。
検閲官に追われている喋れない少女・ユユと、再開した少年検閲官・エノと共に事件の真相を追う。
オルゴール職人たちが住む孤島で起こる連続殺人
検閲官に追われる少女・ユユと出会ったクリス。
ユユはオルゴール職人たちが住む孤島の洋館、カリヨン邸から逃げてきたようです。
そこには情報の塊である「ガジェット」があると検閲官に密告が入ります。
そしてカリヨン邸に行ったきり帰ってこない女性が数名いるという噂も。
喋れないけれど歌を歌えるユユがガジェットを隠し持っているという疑いを晴らすため、クリスを助けてくれた少年検閲官・エノとともに邸へと向かいます。
そこにはエノの後輩にあたるもう一人の少年検閲官・カルテの姿が。
競うような形でガジェットさがしをはじめた彼らの前に邸の住人の死体が次々と発見されます。
人の力ではどうあっても不可能なその殺人事件の真相。
そしてガジェットのありかをクリスたちは見つけることができるのか。
まとめ
書物が失われ、音楽も規制される世界で起こる不可能な連続殺人事件。
その背後には失われゆく美しいものを守りたいという思いが潜んでいます。
その悲愴なまでの強い思いが犯罪へとかきたてるのです。
緻密で論理的なトリック、そして抑圧された中で起こる犯罪の動機に深く感じ入る、その世界ごと楽しめる一級品のミステリーです。
<こんな人におすすめ>
本が禁止された世界で起こる不可能な連続殺人事件を描いたミステリーに興味がある
孤島で起こる連続殺人事件の謎に挑む少年たちの物語を読んでみたい
北山 猛邦のファン
全作「少年検閲官」のイラストブックレビューはこちらからご覧いただけます。
どれも確かに不可能な殺人事件だ!!
謎もトリックも動機も大満足の
本格ミステリだな!!
本が存在しないというファンタジー要素の
ある世界の物語だけれど、その動機の
裏に隠された強い思いは説得力があるわ。
続巻でまた彼らに出会いたいわね。
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