こちらは『f植物園の巣穴』の続編よ。
肩の痛みに悩まされる主人公が
様々な縁に導かれ、曽祖父がかつて
住んだこともあるという場所へ向かうの。
肩の痛みか。四十肩とか五十肩とかって
やつかな。病院にいっても治らないのか?
まだ三十代なのよ。詳しい原因は
よくわからなくて、ペインクリニックや
整体に通ったりするの。痛みを取り除くには
ある場所へ向かうべき、と整体師に勧められて
椿宿という場所へ向かうの。
へえ。肩の痛みと曽祖父が住んだことが
ある場所がどうつながっていくのかな。
気になるぜ。
『椿宿の辺りに』梨木香歩 (著)朝日文庫
あらすじ
化粧品メーカー直属の研究所に勤める佐田山幸彦は肩の痛みに悩まされていた。
従姉妹の海幸彦に紹介された鍼灸院で治療を受けた後、鍼灸師のふたごの妹、亀子にすすめられ、かつて曽祖父が住んだこともあるという椿宿へと向かう。
そこで山幸彦は自分の名前の由来や、屋敷と土地の関係などを知ることになる。
痛みを改善するために椿宿へ
三十代にして四十肩のと診断を受けた山幸彦は、ペインクリニックで治療を受けつつ、何とか生活しています。
母方の祖母が寝たきりであるため母の実家へと向かい、海子こと海幸彦に紹介された仮縫鍼灸院が近かかったので予約を入れ、治療を受けます。
鍼灸師のふたごの妹・亀子は「見える」人間のようで「あなたの快癒に向け手助けしたい。自分は小さな稲荷だが放っておかれると稲荷であることも忘れそうなので、たまにでもいいから参ってもらえるとありがたい」と言っている神様がいると話します。
この神様へ参るべく亀子とともに今は住民のいない椿宿の家へと向かいます。
家を片付けていると天井裏に大黒様を発見。
また県の教育委員会で働く緒方という女性からこの家の歴史や、かつてこの家の前に流れていた川の話を聞いた山幸彦の頭に、ふと「治水」という言葉が浮かび…。
まとめ
痛みに苦しむ山幸彦ですが情け容赦なく母親に荷物持ちをさせられたり、痛みがましになるからと両手を上げたまま会話したりと、どこかユーモアが漂います。
痛みは「滞り」が原因であり、そこを流すことが必要となります。
神様や自然、先祖からのつながりが心地よくストンと胸に落ちる物語です。
<こんな人におすすめ>
痛みと問題点がどうつながるかを描いたファンタジーに興味がある
前作『f植物園の巣穴』を読んだ
梨木香歩のファン
神様と繋がっている….。゚+.(´∀`○)゚+.゚。
自分は自然や祖先とかいろんなものの
一部なんだなあ。
いろんなものとの繋がりから
自分という存在が成り立っている
ということを感じさせてくれる物語ね。
前作『f植物園の巣穴』のイラストブックレビューはこちらからご覧いただけます。
本やイラストレビューが気に入っていただけたらポチッとお願いします。