こちらは担任の教師の秘密を知った
生徒が、教師にある取引をもちかける
お話よ。
何だ何だ。教師は何をしたんだ。
そんでもって教師と取引とは
生徒も悪いやつなのか?
教師が持つもうひとつの顔は
明らかになれば職を失うもの。
生徒は学校内では周りと
うまくやれないタイプね。
ヤバイ面を持つ教師と
コミュ障の生徒?なんだか
恐ろしい予感がするぞ…(・_・;
『二木先生 』 夏木志朋 (著) ポプラ文庫
あらすじ
内向的で本を好み、周囲から「変わっている子供」と言われてきた田井中。
高校二年生の今では何か発言するたびに馬鹿にされ、自分は地球に放り込まれた異星人であるかのように感じていた。
そんな中、担任の美術教師が大きな秘密を抱えていることを知り、ある取引を持ちかける。
社会からはじき出され、受け入れてもらえない個性を持った教師と生徒が、その生き様をぶつけ合い模索していく。
担任の二木へ取引を持ちかける田井中だが
親が離婚し、母親と二人で暮らしている田井中。
内向的で言葉を選んで話しますが、小学生の頃は「変わっている」「子供らしくない」と大人たちから言われ、今では「自己アピールうぜぇ」などとクラスメイトから言われ、馬鹿にされます。
自分は普通の人間と違うことに気づき、周囲と同じ人間になろうとしたこともありましたがうまくいかず、今ではそれもやめました。
ある日田井中は、担任の二木が同人誌に漫画を描いていることを知ります。
本屋で万引きをして店員に見つかってしまった田井中は、母親ではなく二木を呼びます。
そして、母へこのことを黙っていてほしいこと、二木の秘密を知っていることを伝えます。
すると、何と二木は田井中に「宿題」を出してきたのです。
まとめ
人と感覚が違うことを自覚していて、それが周囲の人間を馬鹿にしているように見えて浮いてしまう田井中。
明らかになれば周囲が嫌悪感を持たずにいられない嗜好を持つ二木。
自分の中の部分を消すことなく生きていくための方法を、ヒリついたやりとりの中から二木は田井中へと伝えていきます。
常識と呼ばれる声が彼らを苦しめますが、その決着も常識的とは限らないのかもしれません。
生きづらさを抱える多くの人に手に取ってもらいたい物語です。
<こんな人におすすめ>
「普通」にできなくて生きづらさを感じている高校生を描いた話に興味がある
社会からはじき出された教師と生徒の息つまるような攻防を描く話を読んでみたい
夏木志朋のファン
うわぁ… これは…
でもこんな風に苦しんでいる人が
実際いるんだろうな。周囲に理解
されない二人だからこそ分かり合える
部分もあったのだろうな。
緊張感のあるハラハラするやりとりが
読者をぐいぐいと惹きつけるわ。
こんな考え方、生き方を持つ人間がいるのだと
いうことを知るためにも、多くの人に
手に取ってもらいたいお話ね。
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