こちらはファンタジーの世界で起こる
ホラーミステリー。『メルヘン殺し』
シリーズの第四弾よ。
メルヘンなのにホラーで
ミステリーってのがおもしろいよな。
今回はどの物語の世界が舞台なんだ?
ティンカー・ベルが殺されて
その犯人を探し出すお話よ。
ちなみにこの世界でのピーター・パンは
サイコパスな殺人鬼という設定なの。
え?ネヴァーランドの
英雄がサイコパス殺人鬼だって??
なんちゅう世界じゃ。じゃあ犯人は…
井森の活躍を期待しよう!
『ティンカー・ベル殺し』小林 泰三 (著)創元推理文庫
あらすじ
大学院生の井森健は夢の中でファンタジーの世界に迷い込み、その時はいつも間抜けなとかげのビルになっている。
ある日、井森は夢の中でピーター・パンとウェンディ、ティンカー・ベルらに拾われる形でネヴァーランドヘト向かう。
しかしそこは大人と子供が互いに殺し合う血に塗れた恐怖の国だった。
その上、子供たちを率いるピーターは根っからの殺人鬼で…。
ティンカー・ベルを殺した犯人は誰?
井森の夢の中、彼のアヴァターであるビルは、ネヴァーランドへ向かうピーター一行と出会い、食料にされそうになったところ、ウェンディに助けられ皆についていくことに。
殺し合いが好きなピーターは、子供たちを連れて海賊や赤膚族を殺しまくっているのです。
そんな中、妖精ティンカー・ベルが羽をちぎられ腹を刺された死体となって発見されます。
ウェンディの提案により探偵役をピーター、ワトソン役をビルが引き受けティンク殺しの犯人を探すことに。
一方、井森は小学校時代の同窓会に参加し、会場である温泉宿に来ていました。
ティンクが殺された夢を見た朝、旅館の外にある柵に胴体を貫かれた同窓生の姿が。
夢の世界の出来事が現実の世界に反映されることを理解している井森は、亡くなった彼女がティンクのアヴァターであると悟ります。
状況を把握するため宿の皆に「ネヴァーランドの夢を見たことのある人は正直に名乗り出てください」と語りかけますが…。
まとめ
ピーター・パンが殺人鬼という驚きの設定のもと、ネヴァーランドでの殺りくが井森たちの現実世界でも起こるファンタジー・ホラーミステリー。
残忍な描写はもちろんのこと、アヴァターの正体や想像をかきたてるセリフまわしなどミステリー的にも楽しめる要素が満載の物語です。
<こんな人におすすめ>
現実と夢がリンクする中で起こる殺人事件の謎を解くミステリを読んでみたい
「アリス殺し」シリーズのファン
小林 泰三のファン
うわぁぁ… ラストがすごい。
さすがだと唸るしかないな。
あとがきには続編の構想について触れていて
読みたくなってしまった。もっとたくさん
書いて欲しかったなあ。
現実とファンタジーの世界、
ダブルでのトリックやその仕組みなど
夢中にさせてくれるシリーズよね。
この先が読めないのは残念だけれど
多くの人に読み継がれていってほしいわね。
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