こちらは『ちびねこ亭の思い出ごはん』
シリーズ第六弾よ。祖母の代わりに
ちびねこ亭に向かう中学生の孫娘のお話など
4編を収めた一冊よ。
ほうほう。おばあちゃんは誰と
話したかったんだ?
亡くなった夫に謝りたいと
思っていたようなの。祖母から聞いた
その話を思い出した孫娘が、倒れた
祖母の代わりに祖父に伝えようとするの。
なるほどね。他の人の思いを
伝えにいく、というのもこれまでに
ないパターンかも。孫娘は無事に
伝えることができるのかな?
『ちびねこ亭の思い出ごはん からす猫とホットチョコレート』
高橋由太 (著) 光文社文庫
あらすじ
コンクールで入賞するほどだったピアノが、だんだんと上位に入れなくなり、レッスンもさぼりがちになった中学生の一花。
春休みに千葉県君津市で一人暮らしをしている祖母の家へ行くことに。
玄関の戸を引くと、祖母が廊下に倒れていた。
両親に連絡し、病院で治療を受けるのを待つ間、去年のお盆に祖母が話してくれた昔の話を一花は思い出していた(「からす猫とホットチョコレート」)。
芸能事務所の会長、出水亨はかつて所属していた俳優・熊谷が立ちあげた劇団のお芝居を見ていた。
観劇後、挨拶に来た熊谷へ、芝居のモチーフとなった「ちびねこ亭」と自分の関わりについて語り出す(「黒猫食堂と焼きおにぎり」)。
祖母の思いを亡くなった祖父に伝えたい
ピアノしか取り柄がないのに、そのピアノが上手く弾けなくなってしまったことで「人生終わった」と感じている一花。
親にすすめられたこともあり、春休みに祖母の家に遊びに行くことにしたのですが、祖母が倒れているのを発見。
救急車を呼びすぐに手術を受けますが、予断を許さない状況です。
一花の両親が病院にいる間、一花は昨年のお盆に祖母と話したことを思い出します。
祖父に謝りたいと言っていた祖母の気持ちを伝えるためにい「ちびねこ亭」へと一花は向かいます。
ところが店は閉めようとしてるところで…(「からす猫とホットチョコレート」)。
自分が解雇した俳優・熊谷が主催する劇団の芝居を見にきた芸能事務所会長の出水。
そこに登場する食堂のモデルとなった「ちびねこ亭」のことを出水は知っていました。
その理由をたずねる熊谷に、出水は二十年前のこと、愛する人を喪ったこと、撮影で知り合い世話になった人からちびねこ亭の話を聞いたことを語ります。
そして熊谷に「どうすれば、ちびねこ亭に行ける?」とたずねます(「黒猫食堂と焼きおにぎり」)。
まとめ
大切な人を喪うことは悲しみと同時に後悔や償いきれない自責の念に苦しみ続けてしまうことでもあるのかもしれません。
思い出ごはんはそうした思いをあたたかな湯気で包み込み、一緒に過ごした美味しい時間、幸せなひとときを思い出させてくれるのです。
「あなたに会えて良かった」。
そんな思いに満たされる心に沁み入る物語です。
<こんな人におすすめ>
亡くなった大切な人に思いを伝えることができる食堂を描いた話を読んでみたい
『ちびねこ亭の思い出ごはん』シリーズを読んでいる
高橋由太のファン
ねえ〜〜〜〜
亡くなった人が幸せだったって
出会えて良かったって思ってたってことが
嬉しすぎて泣けるんだけど〜〜(//இωஇ//)
思い出ごはんのあたたかな湯気は
相手を大切に思っていたこと
ともに過ごした幸せな時間を
思い出させてくれるのよね。
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