『炎上フェニックス 池袋ウエストゲートパークXVII』
石田 衣良 (著)文春文庫
こちらは池袋ウエストゲートパーク
シリーズの第17弾よ。ネットで炎上した
女子アナが、彼女を攻撃する人物たちに
会って話を聞きにいくの。マコトは彼女の
ボディガードとして同席するのよ。
炎上?その女子アナは何か
やらかしたのか?
彼女をストーキングしていた
男性が自殺したの。彼を自殺に
追い込んだのは女子アナのせいだと
ネットに書き込まれたことで炎上。
女子アナは休職にまで追い込まれるのよ。
ストーカー被害に炎上騒ぎ。
ひどい話だな。そんなコメントを
書き続けるのはいったいどんな奴ら
なんだろう。
あらすじ
女子アナのストーカーをしていた同じテレビ局のADが自殺。
ネットでは被害者である女子アナが同ADをもてあそび自殺に追い込んだとして炎上。
休職にまで追い込まれた彼女は執拗な攻撃を続ける人間たちの話を聞くためにタカシとマコトに協力を依頼する。
表題作『炎上フェニックス』ほか、パパ活、ぶつかり男、副業など現代社会の闇を切り取るシリーズ第17弾。
女子アナを炎上させた『放火魔』の正体
タカシを通してMBCの女子アナウンサー、ホノカから依頼を受けたマコト。
彼女にストーカー行為をしていた同局のADが、接近禁止命令を受け、実家に帰ったのち自殺。
この一件がネットニュースに流れると「女子アナが男をたぶらかし、自殺へと追い込んだ」として大炎上。
被害者である彼女への誹謗中傷があふれ、精神的にも追いつめられたハルカは現在休職中とのこと。
改めてコメントを見直し、特にひどいコメントをくり返す数名に対し、話を聞きたいのでマコトに同席してほしい、という依頼でした。
根も葉もないストーリーを作り出し、それに乗っかり、言葉の刃でホノカを傷つけるのはいったいどんな奴らなのか。
同席するマコトの目に映ったのは加害者たちの背後にうごめく闇。
さらにその闇は新たなトラブルへつながる気配を見せ…。
まとめ
事実関係を知ろうともせず、ただひたすらに相手を貶める言葉を吐き続けるネット住民。
その言葉の強さ、鋭さは人を眼の前にして実際に口にすることで、はじめてその破壊力の大きさを実感します。
PCやスマホの向こうに人間がいる。
ただそのことに想像力を働かせないことで、まるであいさつでもするように罵詈雑言をたたきつける輩に対し、「人への言葉」をきちんと発するマコトがホノカを支えつつ、ともに対峙します。
現代社会の闇に一石を投じるIWGPシリーズ第17弾です。
<こんな人におすすめ>
パパ活やぶつかり男、副業配達員、ネット炎上をテーマにした物語に興味がある
『池袋ウエストゲートパーク』シリーズのファン
石田 衣良のファン
ひど…。こんな言葉を
投げつけられ続けたら
そりゃあ具合も悪くなるわ。
自分の不満を関係ない人に
ぶつけるもんじゃない!って考えたら
わかりそうなもんなのになあ。
顔が見えない分、気軽に
相手にひどい言葉を投げることが
できる人間がいるってことね。
言葉が持つ「力」を考えて欲しいわよね。
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