こちらは東大出身の家庭教師が
中学受験に取り組む子供達と
その家族に向き合いサポートしながら
合格を目指す物語よ。
小学生って体もメンタルも
まだまだ幼いからなあ。
それに親の期待とかが
子供の感覚とずれたりすることも
ありそう。
そうね。受験にピンと来ない子供や
他のことに気をとられて勉強が
進まない子供もいるし、親が過度の
期待をかけることもあるわね。
それぞれの子供の特性、家庭の状況に
合わせて家庭教師が対応していくの。
子供の勉強に対するモチベーションを
あげて、親をなだめて…
家庭教師はどんな風に関わって
いくのか。楽しみだぜ。
『小さな挑戦者たち』騎月 孝弘 (著)ポプラ文庫
あらすじ
篠宮結衣は、この春新六年生を担当することになった、東大卒の家庭教師。
中学受験に特化した家庭教師の会社「ノーツ」に勤めている。
担当する生徒とその家庭を通して、結衣は子どもたちの成長を感じ、そして自分の心に残る傷に向き合っていく。
四つの家庭 それぞれの中学受験
東大を卒業し、大手商社に勤めるも、その環境に耐えかねて退職。
塞ぎ込んでいたところ、高校の先輩であり「ノーツ」代表である七緒から声をかけられ家庭教師となった結衣。
小学三年生、四年生をこれまで担当し、いよいよ受験生である六年生担当となります。
結衣は自身が勉強が好きなこともあり、子どもたちが飽きずに効率良く勉強に取り組めるよう、様々な工夫をこらして教えます。
しかし受験にまつわる問題は生徒の学力だけではありません。
自分が行けなかった環境の良い私立に行かせたい母親、『推し』にハマり集中できず成績が下降、父が息子にかける圧力とも言える期待、そして教える立場である結衣自身がまだ消化しきれていない、傷ついた過去のこと。
子どもたちだけではなく、親を巻き込んで立ち向かう結衣。
果たして四家族が挑む中学受験はどのようなものになったのか。
まとめ
基礎から学ばなければならないことが多く、また自身もまだ幼いため親のバックアップが必然となる中学受験は、子どもはもちろん親にとっても苦しいもの。
そんな状況の中で、家庭内で思いがけない衝突が起こることも。
結衣はこうした場面を眼の前にして、家庭教師という立場ながら生徒を守ることに全力を注ぎます。
そうすることが、結衣自身の傷を癒すことにもつながっていくのです。
未知数の可能性を持った小学生たちは結衣の教えを身につけ、どんどんと吸収し勉強だけには止まらない広い視野を持ち始めるなど、大人の考えを超える成長した姿を見せてくれます。
親子、家庭教師、塾など、ぶつかり、迷い悩むことが次々と現れる中学受験。
しかしその先にはやり遂げた子どもの輝く顔と、それを見守る親の笑顔が待っている。
そんな風に思える感動の物語です。
<こんな人におすすめ>
中学受験に挑む子供達やその家族、そして家庭教師の姿を描いた話を読んでみたい
中学受験をする子供達の学力が伸びる条件や勉強必勝法に興味がある
騎月 孝弘のファン
中学受験てさ、合格不合格だけじゃない
もっと別のものが得られるんだって
そう思えるな。
登場人物たちと一緒に悩み、苦しみ
そして喜びの涙を流せるような
物語の中に引き込まれるお話ね。
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