こちらは『木挽町芝居茶屋事件帖』
第四弾よ。孤独な老人を狙った
詐欺事件を耳にした喜八たちは
事件を探っていくの。
江戸の詐欺事件か。
隠居してお金持ってる老人とか
いそうだもんなあ。
そうなの。「かささぎ」のお客の
一人もそうした事件の被害に
遭ったようで…
ありゃあ そりゃ喜八たちが
何とかしてやらないと。
しかし何でそんな詐欺事件が
起こったんだろう?
『薫そうめん 木挽町芝居茶屋事件帖』
篠 綾子 (著)ハルキ文庫
あらすじ
蒸し暑いさなか、雨が降る。
木挽町の芝居茶屋「かささぎ」では芝居好きの老人・岩蔵と、金貸し屋の奉公人をしている若者・長助が相席になった。
芝居談義で盛り上がっていいたが、岩蔵の放った言葉が場を白けさせてしまう。
一方、常連客のおあさは、「かささぎ」をさらなる繁盛店にするために、店主の喜八にある計画を持ちかける。
芝居茶屋を取り巻く人々の人情を描くシリーズ第四弾。
孤独な老人を狙う詐欺事件の謎
以前金貸しをしていたが、今は隠居生活をしている岩蔵が、芝居見物の帰りに「かささぎ」へ立ち寄りました。
後から入店した長助とは、芝居の席が隣同士だったということで、かささぎでも相席に。
芝居談義に花を咲かせていましたが、海苔巻きに入っていた胡瓜を目にした岩蔵は「胡瓜は苦いし、青臭くて美味くないからね」と顔をしかめます。
店主の喜八は「漬けものにすればさっぱり美味しいですよ」とにこやかに解説。
それならば、と食べてみた岩蔵は大きくうなずき、「貧乏人が食うものと思い込んでいたが、私が間違っていたようだ」と話し、「貧乏人」という言葉に場が白けてしまいます。
そんな金持ちぶった一面を見せる岩蔵のもとへ、疎遠になっていた息子の娘、つまり孫がやってきました。
岩蔵にやさしく寄り添い世話をする孫娘のお春。
祖父と孫の仲睦まじい様子を見守っていた喜八ですが、江戸の治安を守る鬼勘から気になる話を耳にします。
一方、常連客のおあさは、江戸の町で話題になっている駿河台の詐欺事件の詳細を鬼勘から聞き出そうとします。
独り暮らしのご隠居のもとへ手代だった男の娘と名乗る女が現れ、恩返しがしたいからと老人の世話をはじめたが、ひと月ほど経つと金を奪って逃げたのだといいます。
この事件が気になった喜八ですが、おあさからある提案を持ちかけられます。
それはこの「かささぎ」を役者に会える店にしよう、というもので…。
まとめ
孤独な老人を狙った詐欺事件。
しかし、その裏には騙すほうの、そして騙されるほうのそれぞれの事情がありました。
梅雨から初夏を楽しむ兄の香の生姜と妹の香のミョウガをつけた『薫そうめん』など、爽やかな風が感じられるようなメニューを提供しながら、喜八は詐欺事件の謎に挑みます。
また、喜八と弥助が役者の姿をして料理を運ぶというおあさのアイデアは何と鬼勘もアイデア出しの場に加わり大盛り上がり。
彼らが喜八・弥助のポテンシャルに大いに期待をかけているところに思わず笑みがこぼれます。
これからの「かささぎ」の戦略、そして正体不明のライバル店の店主の動きなど、ますます目が離せないシリーズ第四弾です。
<こんな人におすすめ>
芝居茶屋の若き店主が江戸で起こる詐欺事件に挑む話に興味がある
『木挽町芝居茶屋事件帖』シリーズのファン
篠 綾子のファン
詐欺事件の裏にはそんな事情が…
思わずホロリとしちゃうな( ̄^ ̄゜)
季節の移り変わり、旬の味を
楽しみつつ、喜八と弥助の
成長していく役者ぶりも楽しめる
シリーズ第四弾ね。
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