こちらは『ちびねこ亭の思い出ごはん』
シリーズ第八弾よ。仕事に疲れてしまった
書店の店長が、本を好きになるきっかけを
くれた恩師に会いにちびねこ亭へ向かうの。
書店はどこも厳しい状況だよなあ。
店長ともなれば責任もかかって
くるしな。
恩師は「本が嫌いになったら
返しにきて」と一冊の本を
貸してくれたの。その本を
亡くなった恩師に返そうとするのよ。
書店の店長だけど本が嫌いに
なっちゃったのか…?
先生はいったいなんて答えるんだろう。
『ちびねこ亭の思い出ごはん かぎしっぽ猫とあじさい揚げ』
高橋由太 (著)光文社文庫
あらすじ
三十五歳になる五十嵐さくらは疲れていた。
書店の店長を務めているが、給料は安く責任は重い。
売り上げも落ち続けている中、閉店の話まで持ち上がる。
仕事の辞めどきなのかも。
そう考えたさくらは、自分が本を好きになったきっかけをくれた人ともう一度話がしたいと思い、死んだ人間と話ができるという「ちびねこ亭」を訪れる。
本との出会いをくれた亡き恩師
親から見合い話を持ち込まれ、書店の仕事では売り上げが落ち、本部から閉店の話も出ていることを知ったさくら。
安い給料でへとへとになるまで働いても報われない現実に無力感を抱きます。
「本なんか好きにならなければよかった」。
そんなことを考えながら、自分が本を好きになるきっかけを与えてくれた、中学時代の恩師のことを思い出します。
恩師はさくらに一冊の本を貸してくれました。
本が嫌いになったら返して、と言われたその本は亡くなった彼女に返すことができず今もさくらの元にあります。
ひょんなことから亡くなった人間と会える「ちびねこ亭」の存在を知ったさくらは、書店を辞めようと考えていること、本が嫌いになったことを先生に伝え、本を返そうとします。
先生に教えてもらった店で食べた思い出の味、勝浦タンタンメンを夢中で食べていると、気がつけば辺りが真っ白な霧に覆われて…。
まとめ
書店をめぐる厳しい現状。
「本が好き」という思いを胸に頑張る書店員たちだって心が折れてしまうこともあります。
壁にぶつかってしまった時は原点に帰ってみること。
書店店長のさくらも、本の楽しさ、本が好き、という気持ちを教えてくれた、若くして亡くなってしまった中学時代の先生に会いにいきます。
シリーズ8作目を迎え、様々な登場人物が思いがけない形で再び現れたりする連載ならではの楽しみもある本作。
その出会いや関わりがまた新たな奇跡につながっていく。
現実の世界はそうした奇跡のつながり。
そんな風に感じられる心があたたかくなる感動のシリーズ第八弾です。
<こんな人におすすめ>
今の仕事を選ぶきっかけを作ってくれた亡き恩師に会う話に興味がある
『ちびねこ亭の思い出ごはん』シリーズのファン
高橋由太のファン
今回も泣けるなあ…
ありがとうって気持ちで
満たされるんだよな…( இωஇ )
出会った人も本も今の自分を
作ってくれたものなのよね。
そんな存在に感謝したくなる
物語ね。
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