こちらはエドワード・ターナー三部作の
第二弾よ。採石場で発見された身元不明の
屍体が、解剖医ダニエルたちのよく知る
人物だったの。
ええっ!?エドとナイジェルが
あんなことになってダニエルは
さぞかし落ち込んでいただろうに…
屍体には「ベツレヘムの子よ、
よみがえれ」と描かれていた
そうよ。ダニエルやその弟子たちは
屍体のある現場に向かうのだけれど。
おお、なんだか深い意味が
隠されているようだな。
それにエドがどうしているのかが
気になるぞ。
『アルモニカ・ディアボリカ』
皆川 博子 (著)ハヤカワ文庫JA
あらすじ
18世紀のイギリス、亡き者として生きると言い残し去っていった愛弟子のエド、ナイジェルを思い、解剖医のダニエルは傷ついた心がいまだ回復できずにいた。
一方、残りのメンバーの弟子たちは盲目の判事、ジョンの要請により、犯罪防止のための新聞づくりに励んでいた。
ある日、身元不明の屍体の情報を求める広告依頼が彼らのもとに舞い込む。
屍体に描かれた奇妙な暗号を調べるにつれ、ある人物の意外な過去が明らかになっていく。
天使と見紛う屍体の正体とその過去とは
新聞社へやってきたのは逓信大臣・ダッシュウッドの従兄弟でウェスト・ウィカムの管理人、ジャガーズ。
閉鎖されていた白亜の採石場の坑道内で身元不明の屍体が発見されたため、この屍体についての情報を求める広告を新聞に出したいと言うのです。
また現場では天使を見たと発言する者がいること、屍体の胸には「ベツレヘムの子よ、よみがえれ!」と描かれていたのだとか。
そして「アルモニカ・ディアボリカ」という署名も。
屍体を確認するため、乗合馬車に乗り、ダニエルとネイサン、アルとクラレンス、ベンでウェスト・ウィカムへ。
途中、ダッシュウッドから中止せよとの連絡が入ったものの、彼らは強引に屍体へと近づきます。
柩の蓋を外すと、そこに入っていたのは彼らが良く知る顔だったのです。
ネイサンが宿屋で見た両足のない男、レイ・ブルースと、彼が語った占いにすがる宿屋の下女、エスター・マレット。
彼らの過去とつながりが明らかになる時、今まで知ることのなかったある人物の、衝撃的な過去を知ることに…。
まとめ
『開かせていただき光栄です』の続編となる本作。
行方知れずとなっていたエドとアンディに、ダニエルや彼の弟子たち、そして盲目の判事ジョンと助手のアンらが再会します。
屍体に描かれた暗号文はやがて、今は権力者となっている者たちのスキャンダルへとつながっていきます。
そしてその隠蔽により今もなお苦しんでいる者たちがいるのです。
司法も正義も金がモノを言うイギリスで、正義に忠実であろうとするジョンと、自分なりのやり方で正義を貫こうとするエドがそれぞれに奔走します。
権力の下に苦しむ者、そこから救い出そうとする者、そこに強い愛が感じられる、読後に深い余韻を残す物語です。
<こんな人におすすめ>
18世紀のイギリスで悪魔の楽器が絡んだ殺人事件のミステリーに興味がある
前作『開かせていただき光栄です』を読んだ
皆川 博子のファン
こんな!!
こんな人生を送ってきていた
なんて.˚‧º·(ฅдฅ。)‧º·˚.
ダニエルとの出会いが奇跡だったと
言えるんじゃないだろか。
正義とは何か、そして権力の下で
人の命は尊重されるのか。当時の
イギリスという国における
その価値観にも衝撃を受ける物語ね。
前作『開かせていただき光栄です』のイラストブックレビューはこちらからご覧いただけます。
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