新潮文庫

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卑屈で短気。でも寂しがりやな貫多から目が離せない理由。

中学卒業以来、日雇労働をしながらその日暮らしの生活を続けている北町貫多、19歳は見栄っ張りでプライドが高い。将来に希望を持たず、ただその日を暮らせれば良い、と思っている。ある日日雇いの現場で同世代の男・日下部と知り合い、交流するようになると、貫多は少しずつ変わっていくのだが…。
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疎ましく、理不尽。でも愛さずにはいられない家族と故郷。

昭和が終わるころ、南河内の本家の次女・志保子に縁談が持ちあがる。本人の意思はそっちのけで世間体を気にした親戚中の思惑がぶつかり合う。志保子の姉・久美子の娘である4歳の奈々子は、そんな彼らの様子を子どもらしい目で見つめていた。
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様々な角度からひたひたと迫りくる恐怖

作家である私の元に、出版社から神楽坂を舞台にした階段小説の執筆依頼が入った、心の奥底に封印してきた「あの出来事」を文章にする時が来たのかもしれない…。自分の体験談からはじまり、知り合いや人づてに様々な怪異話を集めていく私は、これらの話が奇妙なつながりを見せることに気づく。
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マンション老朽化問題で噴出するのは意地か見栄か固執か

赤坂に立つ、築四十五年のデザイナーズマンション。かつては華々しく話題にのぼっていたが老朽化にともない、あちこちで不具合が発生。改修工事をめぐり、新旧住民や建築事務所関係者など、様々な思惑が絡み合い、事態は混乱を極めていき…。
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「気づく」「変わる」タイミングは人それぞれにある

九州を拠点として展開するコンビニ・テンダネスの門司港こがね村店には、危険なほどにフェロモンをふりまく名物店長と、その威力に反応を示さないスタッフたちが日々働いている。日常生活に日々が入り、きしみを感じる客たちが店にやってきては、新たな視点やつながりを手に入れ、そしてまた誰かへとつないでいく。
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妖たちが草双紙の中に迷い込んだ!?

今日も床に臥している若だんなに代わって、妖である貧乏神の金次と付喪神の屏風のぞきが、主である藤兵衛のお供をすることに。趣味人が集まり、面白い書や巻物、絵を見せ合うその会合で、いくつかの絵巻や草双紙を持ち帰ることになったのだが…。
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お腹も心もやさしく満たされる 7つのおいしい物語

舌の合う恋人とデートで訪れた中華街で食べる、彼のお気に入りの「ぶたばら飯」、幼い頃に母に教えられたみそ汁の作り方。時に甘くやさしく、そしてちょっぴり切ない思いも運ぶ、7つの食卓の風景をおさめた短編集。
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「夢の国」を目立たずひっそりと支えた女の子が抱いた夢

『ミッキーマウスの憂鬱ふたたび』松岡圭祐 (著)のイラストブックレビューです。19歳の永江環菜は東京ディズニーランドで清掃のアルバイトをしている。TDRの親善大使、アンバサダーの募集があり、環菜は意を決して立候補する。そしていよいよ迎えた選考日当日、園内では環菜たちを巻き込む大騒動が起こる。
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ここでは生きられない ここでしか生きていけない

『夜空に泳ぐチョコレートグラミー』町田 そのこ (著)のイラストブックレビューです。思いがけないきっかけでよみがえる一生に一度の恋、生まれ変わる同級生の様子を見守るひととき、救いようのない状況で求める変わらぬ思い。水の中で漂い、停滞し、もがく男女の苦しさとせつなさを描く5編の短編集。
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ままならない人生にそっと寄り添う月の光

『月まで三キロ』 伊与原新 (著)のイラストブックレビューです。広告代理店を辞め、独立するも、経営が悪化し立ちゆかなくなる。妻とは離婚し、手元に残ったのは借金だけ。死に場所を求めて乗ったタクシーは、ある場所へと向かった(「月まで三キロ」)ほか、ままならない人生にやさしく寄り添う自然と人間たちとを描く、六つの短編集。