河出文庫

イラストブックレビュー

強烈!でもクセになる「取扱注意」な短篇集

『グローバライズ: GLOBARISE』木下 古栗 (著)のイラストブックレビューです。外国人に道案内をする僧侶、駅前の広場で演説する青年に向かって怒鳴る中年男性、回転寿司に訪れたベトナム人が店で見たものなど、緻密な描写で爆発的な瞬間を描く十二篇を収めた短編集。
イラストブックレビュー

あの時とともにあの人への思いがある

『水曜の朝、午前三時』蓮見圭一 (著)のイラストブックレビューです。脳腫瘍の告知を受け、四十五歳の若さで死んだ翻訳家であり、詩人でもある四条直美。1970年の大阪万博を舞台に、叶わなかった恋とその後の二十数年。恋の痛みと人生の重みを描くラブストーリー。
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何層にも分かれた人種差別を描く

『非色』有吉佐和子 (著)のイラストブックレビューです。戦後間もなく、仕事先で知り合った黒人兵・トムと結婚した笑子。アメリカへ戻った夫を追い、幼い娘を連れ、ニューヨークへ。彼女たちを待っていたのは貧民街での生活だった。
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生きてきた足跡を残すということ

『さざなみのよる』木皿泉 (著) のイラストブックレビューです。ナスミは三姉妹の真ん中。癌になり、43歳で息を引き取る。ナナスミの家族や、関わりのある者たち、そして、やがて引き継いでいく新しい命が、ナスミの記憶をつないでいく。
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世間にのみこまれないよう、ひたむきに生きる若者たち

『きみの鳥はうたえる』佐藤 泰志 (著)のイラストブックレビューです。郊外の書店で働く「僕」は、友人の静雄と暮らしている。そして同じ書店で働く佐知子の3人の若者が、自分に正直に生きる姿を描いた、青春物語。
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もうひとつの世界の「愛」と「家族」のカタチ

『消滅世界』村田沙耶香 (著) のイラストブックレビューです。子どもが欲しいときはセックスではなく、人工授精をする。「家族」となる夫と暮らし、夫以外の人間やキャラクターに対して恋愛をしていた雨音。しかし夫婦で実験都市へと移住してからそんな日常が思わぬ方向へと変化していく。
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哀しみは日常のささやかな幸せに包まれる

『昨夜のカレー、明日のパン』木皿 泉 (著)のイラストブックレビューです。7年前に25歳という若さで死んでしまった一樹。遺された嫁のテツコと今も一緒に暮らす一樹の父・ギフが周囲の人と関わりながらゆっくりと一樹の死を受け入れていく物語。
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刻一刻と国が浸食されていく緊迫感

『服従』ミシェル ウエルベック (著)のイラストブックレビューです。2022年、フランス大統領選挙で同時多発テロ発生。極右・国民戦線マリーヌ・ペンと穏健イスラーム党党首が決戦に挑む。パリ第三大学教員の僕は、恋人と別れてパリを後にする。
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動きをからみ取られるような深い深い森

『英子の森』松田 青子 (著)のイラストブックレビューです。母と2人で「森」に住む英子。短期で派遣の仕事をしているが、英語を使うことはほとんどない。母が言う通りに英語にしがみついても、何もいい事がないではないか。
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何かに突き動かされるような若者たちの姿を描く物語

『オン・ザ・ロード』ジャック・ケルアック (著)のイラストブックレビューです。安住を否定し、自由を夢見て終わらない旅へと向かう若者たち。ビート・ジェネレーションの誕生を告げ、その後のあらゆる文化に大きな影響を与え続けている伝説の書。