『台所のラジオ』 吉田篤弘 (著) ハルキ文庫
あらすじ
紙カツにソース、まぐろとたまごとかんぴょうの海苔巻き、ビフテキにミルクコーヒー。いつの間にか消えてしまったもの、変わらずにそこにあるもの。流れる時の中で皆が耳を傾けるのは、台所のラジオから流れる声。やさしい温もりを感じる十二の短編集。
何気ない日々の一部にはいつもラジオが流れている
紙カツを出す食堂のおじさんと、そこにかけるソースを作るおじさんがケンカをしたら、紙カツの味が変わってしまった。(「紙カツと黒ソース」)
亡くなった夫が私に内緒で通っていたのは、女のところではなく海苔巻きの店だった。(「さくらと海苔巻き」)
人生のほんの一部分を切り取った、何かが始まる予感を感じさせるような物語たち。彼らに共通するのは台所から流れるラジオです。
まとめ
女性の静かな口調で語られるのは、ニュースや読者からのハガキといった他愛のないものですが、聞くものたちの心のどこかに引っかかったり、何かしらのスイッチを押したりします。そんなちょっとした変化や動きが、読む者の心に小さな明かりを灯してくれる物語です。
<こんな人におすすめ>
どこかで誰かとのつながりを感じるような物語を読んでみたい
じんわりと心が温まるような話が好き
吉田篤弘のファン
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