『水声』 川上 弘美 (著) 文春文庫
あらすじ
1996年、わたしと弟の陵はこの家に二人で戻ってきた。ママが死んだ部屋と、南京錠をかけた部屋のある古い家に。夢に現れたママに、わたしは呼びかける。「ママはどうしてパパと暮らしていたの」。
ある一家を長女の目線で細やかに描く
姉の都、弟の陵は二人姉弟。料理が上手で朗らかな母と、いつもニコニコしている優しい父親と暮らす四人家族。姉弟の子ども時代から思春期を通して五十代になるまでを描いた物語。
カラーテレビが珍しかった子ども時代。弟の陵が会社で働きだしてから地下鉄サリン事件に遭遇したこと。時の流れを背景に、都の細やかな目線や感情を丁寧に綴っています。
まとめ
仲の良い家族ですが、親子で血が繋がっていなかったり、夫婦の関係も特殊です。彼らの生き様はゆらゆらと揺れる水面の下でクラスような、不安定さと心地良さを伴っているようです。男と女が惹かれ合う理由を様々な角度から、複雑な心の動きを伴って表現されている、静謐な物語です。
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