『奇貨』 松浦 理英子 (著) 新潮文庫
あらすじ
男友達もなく女との恋も知らない45歳の中年男・本田はレズビアンで35歳の女、七島と同居し、その友情の深まりに満足していたのだが。
中年男とレズビアン女性の奇妙な関係
二人の友情は、七島に新たな女友達ができたことで少しずつ変化していきます。「親友と仲睦まじく電話で話す七島」に激しく嫉妬を覚えた本田は、七島の部屋に盗聴器を仕掛け…。
いわゆる男女関係のもつれではなく、女同士の友情のこじれに近いものがあります。本田という男は、七島のまっすぐさや優しさ、思いやりに敬意を表していたはずなのに、縮めようのない距離感に焦り、しち島の世界に無断で立ち入ってしまうのです。
まとめ
七島を「珍しいもの」と表現する本田は、相手をよく見たいと思うあまり、やり方を間違えました。「珍しいもの」は取り扱いに注意が必要なのです。どんなに親しい関係だとしても。
<こんな人におすすめ>
人間関係を深められない者の話に興味がある
世間において少数派と呼ばれる人の話を読んでみたい
人の心の繊細な機微が表現される物語が好き
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