こちらは屋上に美しい庭園と神社のある
マンションに住む人々の物語よ。
屋上に庭園と神社とは珍しい。
どんな神様が祀られているんだ?
「縁切りさん」と呼ばれていて
断ち物の神様なの。いろんな
「切りたいもの」を抱えた人々が
やってくるのよ。
なるほど!まあ生きていれば
いろいろ切りたくなるものは
あるよなあ。なかなかそうも
いかないから大変なんだよな。
『わたしの美しい庭』 凪良 ゆう (著) ポプラ文庫
あらすじ
小学生の百音は屋上に美しい庭と祠のあるマンションで、宮司兼翻訳家の統理と二人で暮らしている。
同じマンションに住む統理の友人、路有が部屋にやってきて三人で食卓を囲む。
屋上の神社は断ち物の神様で、悪い縁を断ち切ってくれるという。
そのため、いろんなものに縛られた人々がこの場所へとやってくる。
「縁切り」さんを訪れる人々
おしゃれ好きの元気な百音は小学五年生。
両親を事故で亡くし、母の元夫だった統理と二人暮らし。
宮司である統理の両親が、神社のあった土地にマンションを建て、屋上に祠を設置。
地元では「縁切りさん」の名で親しまれています。
庭園もあり、ちょっとした憩いの場としても利用されているこの場所には、「切りたいもの」を抱えた人々がやってきます。
しきりと見合いや結婚をすすめてくる母にモヤモヤする三十九歳の桃子、ひどい別れ方をした元彼から、しれっとあいさつのハガキが送られてきて苛立ちをかくせない、統理の友人でありゲイでもある路有。
死んだ兄の分まで「きちんと」「がんばって」生きなければ、と思うのに、うつで会社をやめた自分が情けなく、もどかしいと感じる基。
同級生に「うっかり親の話なんてしちゃってゴメン(あなたには親がいないのに)」とあやまられ、いやな気分になる百音。
彼らは何を断ち切るのか。
まとめ
世間の目や、自分の思い込みに縛られ動けなくなっている大人たちに、小学生の百音の言葉はまっすぐに響き、時に大人の閉ざした心の扉を開かせます。
世間や自分自身と何度もぶつかり、転んで、時に何かを断ち切る。
美しい庭の景色はそんな彼らを「よくやった」とほめてくれる。
そんな風に感じる物語です。
<こんな人におすすめ>
周囲から価値観を押し付けられてうっとうしいと感じている
自由に生きたいが世間の目が気になる自分が嫌になる
凪良 ゆうのファン
統理の飾らない言葉も、路有の正直さも
桃子の誠実さも、基の真面目さも、
百音の素直さも全部愛しいぞー。゚(゚´Д`゚)゚。
自分らしく生きることを
見ていてくれる人がいると思うだけで
あたたかな幸せな気持ちになれるわね。
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