こちらは『三島屋変調百物語』
第六弾よ。お嫁に行ったおちかに替わり
伊兵衛の次男・富次郎が聞き役となるの。
おっ 富次郎がいよいよ
聞き役デビューか。どんな人たちが
話をしに来るんだ?
三島屋にいいわくありげな半纏が
持ち込まれるの。一度は断ろうと
するのだけど、持ち主とは違う人物が
語り手として現れるのよ。
ほほう?半纏の持ち主と語り手は
知り合いだったのかな。
経験の浅い富次郎が聞き役として
勤まるような内容なのかな?
『黒武御神火御殿 三島屋変調百物語六之続』
宮部 みゆき (著) 角川文庫
あらすじ
江戸は神田三島町にある袋物屋の三島屋が主人・伊兵衛の思いつきから始めた変わり百物語は今年で三年になる。
「語って語り捨て、聞いて聞き捨て」を決め事とし、身の上話や罪の告白、怪異など、語り手の話に耳を傾ける。
これまでその役をこなしてきたおちかが嫁に行ったために、次の聞き手となった伊兵衛の次男・富次郎のもとに語られたのはどのような話だったのか。
いわくがありそうな印半纏
質屋の主人から三島屋に印半纏が持ち込まれました。
背中に縫い付けられていた当て布を外してみると裏側には意味不明な文字が並んでいます。
おちかが嫁に行った貸本屋の瓢箪古堂の勘一に聞くと、どうやらご禁制である耶蘇教に関するもののようです。
うかつに手を出したら大変なことになると考えた富次郎は半纏を返すことにしたものの、取りに来ると答えた質屋の女中は三島屋にはやってきませんでした。
その間、急ぎで語りをしたいという人物が現れます。
古傷があり、患っている様子でもある語り手は、自分が女中と知り合いであること、そして彼女と知り合ったときのこと、半纏について語り出します。
若い頃、博打にハマり、様々なツテから借金を重ねてきたという、語り手の甚三郎。
彼が迷いこんでしまった世界とは、どのようなものだったのか。
まとめ
娘を売る、親を殺す、不義を重ねる、博打で借金を重ねる。
人に言えないようなことを胸に抱える彼らが迷い込んだのは、形が変わっていき、彼らの命を欲しがる屋敷。
力を合わせ、脱出しようとする彼らの姿に思わず手に汗握ります。
心や体を飛び出して人間を蝕む欲望が呼ぶ怪異に圧倒されながら、物語のおもしろさに強く引き込まれる物語です。
<こんな人におすすめ>
謎めいた半纏にまつわる怪異を描いた話を読んでみたい
『三島屋変調百物語』シリーズのファン
宮部 みゆきのファン
ひょええ〜〜〜(ll゚Д゚)
こんな世界に迷い込みたくない!!
しかもだんだん追い詰められていく
様子がじわじわ怖い(>д<*)
人間が持つどうしようもない部分が
形となって現れたら…。そんな風に
感じる物語ね。
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