こちらは終電に絡んで起こる
人間ドラマを描く『終電の神様』
シリーズ第四弾よ。
終電かあ。どんな人たちが
登場するんだ?
終電を逃したことがきっかけで
お笑いコンビを組むことになった
男性たちや、仕事に疲れたエンジニアが
ふと逆方向の終電に乗ってしまったりするの。
へえ〜。日常の中に生まれる
非日常的な出来事、というわけか。
なんだかドラマチックだな。
『終電の神様 殺し屋の夜』
阿川 大樹 (著)実業之日本社文庫
あらすじ
終電を逃したことがきっかけでお笑いコンビを組むことになった男たち、子育ての苦しさから赤ん坊を捨てに行く女性、日々の激務に疲弊し発作的に反対方向の最終電車に乗ってしまったエンジニアの男性。
人々の様々な思いを乗せて電車は走る。
そんな「終電」から始まる人間ドラマを描く、シリーズ第四弾。
終電がもたらした運命の瞬間
大学三年生のとき、中学校のクラス会に参加したジュン。
仕事をはじめ、しっかりと稼ぎ出した友人たちもいる中で「やりたい仕事がないんだよ」と言うサトル。
二人で飲み直そうと河川敷に向かい、これからのことを話すジュンとサトル。
そしてサトルは芸人になりたいことを告げます。
終電を逃し、世田谷から横浜まで歩いて帰ることにした二人。
相談がある、というサトルから口をついて出たのは「おれと一緒にコンビ組まないか」という言葉で…。
また、自分の洋裁店を閉めた後、教会の庭を掃除しにきている裕美は妙な鳴き声を耳にします。
猫かと思い近づくと、それは赤ん坊で、横にはオムツなどの入った荷物もあります。
抱いてみると思いのほか軽く、ずっと昔の娘を育てていた頃を思い出させます。
一方、赤ん坊の生みの親である陽菜はシングルマザー。
ストレスから息子の首を絞めそうになり、教会の前にわが子をそっとおろし…。
まとめ
将来への道がわからない、決めかねている若者や、プレッシャーや疲れから追いつめられてしまったシングルマザー。
他にも、様々な思いを抱えた人々が終電後に過ごすひとときで新たな道を見つけていきます。
進むべき道は電車が止まり、世の中の動きが緩やかになった時こそ見えてくるものなのかもしれません。
<こんな人におすすめ>
終電からはじまる人間ドラマを描いた話に興味がある
『終電の神様』シリーズのファン
阿川 大樹のファン
一生を左右するような選択って
案外こういう瞬間に訪れる
ものなのかもしれないなあ。
終電という出来事は
いつもと違った視点を与えて
くれるのかもしれないわね。
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