こちらは『木挽町芝居茶屋事件帖』
第三弾よ。茗荷料理に難癖をつけられて
困っているところを救ってくれたお侍が
ある人物を探そうとするの。
茗荷って食べるすぎると
忘れっぽくなるとか
聞いたことがあるなあ。
茗荷料理を食べていた客たちの前で
それを大きな声で言ってきた人物がいるの。
それは迷信にすぎないのだと説明してくれた
客がいるのよ。
へえ。そいつは助かったな。
その人物が誰かを探しているって?
どんな理由があるんだろう。気になるぜ。
『菖蒲ちまき 木挽町芝居茶屋事件帖』
篠 綾子 (著) 時代小説文庫
あらすじ
暦が夏を迎えた四月の半ば。
江戸で評判の美男・喜八と弥助、そして旬の素材を使い気が効いた料理を作る松次郎らが働く芝居茶屋「かささぎ」では茗荷料理で客をもてなす。
季節を感じ入る爽やかな香りとシャキシャキとした歯応えを堪能するお客たちの前で、茗荷料理ばかりを食べさせて客を物忘れにさせる気だ、と騒ぐ客が現れる。
不安そうな顔を見せる客たちの前で「それは迷信だ」とキッパリと言い、その理由を解説してくれたのは武家の中間である藍之助。
この藍之助はある人物を探しているようで…。
茗荷料理で一悶着!?
茗荷の甘酢漬け、茗荷と鰹節のご飯、茗荷と玉子入りの味噌汁に茗荷の衣揚げ。
お客の評判も上々で注文もよく入ります。
そんな中、巴屋の手代がやってきて、主人が若旦那である喜八と話がしたい、と伝えます。
手代は店の中を見回し、「この店では、客を物忘れにさせたいらしいな」と言い出したのです。
茗荷を食べ過ぎると物忘れがひどくなる。
そんな話を聞いたことがあるぞ、と客たちがざわつきます。
そこへ武家の中間らしき男が茗荷を食べ過ぎると物忘れになると言われるようになった理由を解説。
迷信に過ぎないことを伝え、事なきを得ます。
店じまい後に巴屋へ出向いた喜八は、主人の仁右衛門に言いがかりをつけられます。
小さな茶屋であるかささぎに絡んでくるのは何故なのか。
そして仁右衛門の素性とは。
また、この頃江戸で話題に上がっている人探しの寅次郎なる人物が喜八のことを探っていたことを昔馴染みから聞きます。
喜八のほうでもかささぎの客からある人物を探したいため、寅次郎に会いたいと言われていて…。
まとめ
茗荷の物忘れやちまきの由来など、味だけではなくその食べものにまつわる知識も楽しめます。
その話を戯曲に仕立て、出来上がった舞台に喜八と弥助が立ちます。
忠義とは何か、命をどう扱うかということを美味い料理や美しい男たちの芝居で見せることで、見るものたちに問うていきます。
料理に、人情に芝居に立ち回りと見どころももりだくさんのシリーズ第三弾です。
<こんな人におすすめ>
旬の美味い料理を出す芝居茶屋のイケメン店主が江戸のトラブルを粋に解決する物語に興味がある
『木挽町芝居茶屋事件帖』シリーズのファン
篠 綾子のファン
おっと!!
さりげなくあの歴史上の有名人物が
登場するぞ(*゚0゚*)!!
喜八と弥助が舞台に立つたび
演技への思いが変化していく
様子も楽しめるしいリーズ第三弾ね。
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