こちらは三十五歳独身女性が
家と猫を手にしたことで
これまでにない幸福を得るのだけど
様々な問題が起こる物語よ。
まあ状況によっては結婚しろとか
言われたりする年齢だよな。
仕事をしているなら活躍できるか。
そうね。主人公も仕事は順調だし
現在の状況に不服はないけれど
未来に対して漠然とした不安を
持っているわ。
このまま家族を持つことなく
歳を取っていくことになるのか、とかね。
そんな主人公が家と猫を手にしたことで
どう変わっていくのか、気になるな。
『瞳のなかの幸福』小手鞠 るい (著) 文春文庫
あらすじ
七年前に婚約破棄され深く傷ついた滝野妃斗美、三十五歳。
ひたすら仕事に励み、それなりに充実はしているが、実家の家族に結婚しろと促されうまくあしらえない自分に落ち込む。
そんな中、運命的な出会いを果たす。
それは、家と猫。
一人で生きていくのに理想的な一軒家を手に入れ、偶然出会った子猫を飼うことを決意。
雷、と名付けた小さな毛の固まりは妃斗美にこれまでにない幸福感をもたらしてくれた。
そんな『幸せ』を手にした妃斗美だが、彼女の周辺で様々な事が起こる。
自分の生き方を見つめなおした時に出会ったもの
ショッピング雑誌の副編集長を務める妃斗美は、過去に婚約破棄されて以来、仕事一筋に頑張ってきました。
仕事は順調ですが、実家に帰省すると母や弟たちが「いまだ独身だなんて。いい人はいないのか。」とせっつかれゲンナリします。
腹がたっても言い返せず、今後のことを考えれば確かに不安はある。
だからといってそれを理由に結婚なんて…とモヤモヤする妃斗美。
仕事帰りに偶然見つけた不動産屋で「運命の出会い」と思える物件に遭遇し、購入。
小ぶりな一軒家は快適で、週末には散歩に出かける楽しみもできました。
その散歩中、会社のアルバイト・ムト君と出会います。
彼の夢や、やりたいことを耳にした妃斗美は、ぜひやるべきだ、と応援します。
ムト君はバイトを辞め、夢を叶えるためにアメリカへと旅立ちました。
自分の中に吹くすきま風を感じる妃斗美に再び運命の出会いが。
生垣の奥から出てきたふわふわの毛玉が妃斗美の足と足の間にすっぽりもぐり込んで…。
この子猫、『雷』との出会いで妃斗美の暮らし、価値観、幸福度が激変。
この幸せがいつまでも続くと信じて疑わなかった妃斗美ですが…。
まとめ
猫という愛する対象を得たことで、仕事についても恋愛についても一歩離れて客観的に、ゆとりを持って向き合えるようになった妃斗美。
愛くるしい姿はただ存在するだけで癒しとパワーを与えてくれるのです。
愛に迷い子になったとき、その支えとなってくれるものがあれば、揺れることのない答えを導き出せるのかもしれません。
幸せの固まりがそこここに満ちた物語。
<こんな人におすすめ>
35歳の独身女性が自分の生き方を見つめ、自分だけの幸せを見出す物語に興味がある
幸福とは何かを考えさせられる物語を読んでみたい
小手鞠 るいのファン
猫は幸福の使者であることが
実証されたな!!
特に子猫の威力はすごい。
支えとなる存在があることで
大事な局面での判断や決定が
こんなにも揺るぎないものになるのね。
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