こちらは江戸の普請、つまり
リフォームを担当する女大工、
お峰の仕事と江戸の人情を描く
シリーズ第二弾よ。
江戸時代のリフォームね。
暮らしぶりが変われば
家も使い勝手よくしたいよな。
そうなの。階段のついた立派な家を
妊娠中の妻のために過ごしやすく
作り変えてほしい、といった依頼も
あるのよ。でも奥さんは終始苛立った
様子をしているわ。
へえ!階段付きの家とは
随分豊かな家なんだろうなあ。
恵まれているように思えるけど
なんで奥さんはイライラしてるんだ?
『おしどり長屋 おんな大工お峰 お江戸普請繁盛記』
泉 ゆたか (著)角川文庫
あらすじ
神田横大工町で采配屋の与吉の許に居候しつつ、普請の仕事をしているお峰は、与吉と妻のお芳、夫を亡くして幼い花を連れて実家へ戻ってきたお綾たちと賑やかに暮らしている。
ある日、青白い肌で気弱そうな男、助左衛門がやってきた。
干鰯問屋の三代目だという助左衛門の江戸出店に備え、しばらく与吉が面倒を見ることに。
また、お峰は大工の文太から普請の依頼を受ける。
身重の女房のために暮らしやすい家にしてほしいと言うのだが…。
身重の妻が過ごしいやすい住まいとは
江戸へ進出するため、下総から偵察に来たという助左衛門。
出店場所を決め、土地を買いたいとのこと。
そこで江戸の地を知るために与吉に協力してほしいのだと言います。
喜んで引き受ける与吉、そして頼りなく危なっかしい印象を助左衛門から受けるお峰。
江戸の様子に目を輝かせていた助左衛門ですが、しばらくすると「いい場所が見つかりそうです」と話し出し、お峰たちは仰天。
その土地の名を聞いてさらに驚き…。
また、大工仲間の文太から部屋の普請を頼まれたお峰。
身重の奥さんは家のせいで気が立つそうで、文太にまで怪我をさせるほど。
文太の家は長屋といっても二階建ての立派なもので階段までついています。
奥さんのお市に話を聞くも、その表情はこわばり、発する言葉は冷たいもの。
お芳やお綾たちとの会話からヒントを得たお峰は再びお市のもとへ。
お市の生い立ち、育った環境を詳しく聞き出します。
そうして出来上がった、文太とお市の住まいとは。
まとめ
江戸のリフォーム大工、お峰が活躍するシリーズ第二弾。
夫は外で働き、女は家の中で働く。
そんな夫婦の形に異を唱えるお市の気持ちに寄り添い、文太が家の仕事を協力できる造りにするなど細やかな心配りが行き届いたリフォームアイデアはお峰ならでは。
また、自分が好きなことがありながら、三代目なのだから仕方がないといった様子の助左衛門が、徐々に跡継ぎとしての覚悟を決め、好きなことに対する落とし所がお見事!!
時代はお江戸、考え方次第で三方全て良しの結果を生み出せるのです。
お峰の手がける普請には人が集い、笑顔が生まれます。
そんな女大工、お峰の仕事ぶりを描く物語です。
<こんな人におすすめ>
江戸でリフォームを手がける女大工が活躍する物語に興味がある
前作『おんな大工お峰 お江戸普請繁盛記』を読んだ
泉 ゆたかのファン
お峰の普請は家の造りだけじゃなく
住む人の「思い」に寄り添って
いるところがいいんだよなあ。
生きるにも住むにも「覚悟」が
必要になることがあるわよね。
覚悟が決まればいろんな人が
手を差し伸べてくれる。そんな
江戸の人情も感じられる物語ね。
前作『江戸のおんな大工』(書籍版となります)のイラストブックレビューはこちらからご覧いただけます。
本やイラストレビューが気に入っていただけたらポチッとお願いします。