こちらは『満月珈琲店の星詠み』シリーズの
第五弾よ。母を看取った女性が満月珈琲店に
出会い、これまでの人生を振り返り、これからの
生き方に目を向けていく物語よ。
母親を亡くしたのか。
それは大変だったなあ。
彼女はこれまでの生き方に満足して
いたのか?
母子家庭に育った彼女は、自分はこれまで
母が望むように生きてきたのでは?
と考えているの。母が亡くなった今、
力が抜けてしまい、先のことを
考える気力がなくなってしまっているわ。
なるほどね。満月珈琲店の
美味しいメニューで
自分なりの道を見つけられると
いいんだが。
『満月珈琲店の星詠み~秋の夜長と月夜のお茶会~』
望月 麻衣 (著), 桜田 千尋 (イラスト)文春文庫
あらすじ
母を亡くし、ぼんやりと日々を過ごしていいた真中百花。
両親は百花が幼い頃に離婚し、以来二人でやってきた。
眠れぬ夜、散歩に出かけると、閉園した遊園地のそばに顔見知りの猫、くーちゃんの姿を発見。
くーちゃんに導かれるように園内へ入ると、広場には「満月珈琲店』と看板の出たトレーラーカフェが。
猫たちが楽器を奏で、大きな三毛猫がカフェのマスターをつとめる不思議な空間で、百花に提供されたスイーツとは。
人生に迷う人々が出会う、特別なカフェの物語。
母を亡くした百花の前に現れた不思議なカフェ
他に好きな人ができたから、と母と幼い百花を残し、家を出た父。
頑張って勉強し、成績の良かった百花は看護師に。
恋人もでき結婚の話も出ましたが、母を一人にすることにふんぎりがつきませんでした。
母の余命がいくばくもないことを知り、仕事を辞めて看病していましたが、その母が亡くなりました。
葬儀にはなんと、出て行った父の息子であり百花の異母弟である真中総悟がやってきて、百花に謝罪したいと言います。
しかしその言葉に百花は怒りも悲しみも喜びも、何も感じなくて…。
心ががらんどうのようになってしまった百花は、夜の遊園地で不思議なトレーラーカフェに出会います。
大きな三毛猫のマスターが提供してくれたのは星屑のブレンドコーヒー、そしてアイスのようなチーズケーキ、『銀河のカッサータ』。
母に縛り付けられていた人生だったのではと考える百花は、なめらかな口どけと様々な酸味や食感のカッサータを味わいながら猫たちの話に耳を傾けます。
火の玉のように働く時期が終わりに近づいていること、これからは様々なことを受け止め拡大していく時期であること。
そして猫たちからはこの場所まで案内してくれた茶トラのくーちゃんを百花の家族として迎えてほしい、とお願いされます。
新しい縁を結ぶことに躊躇する百花でしたが…。
まとめ
自分で選んできた道ではあるけれど、母のことがずっと基準にあり、思うように生きることができていなかったのでは、と考える百花。
しかしそんな彼女の支えであった母が亡くなり、百花は何をしていいのか、よくわからない状態になってしまいます。
そんな時に彼女の前に現れたカフェは、美味しく美しいドリンクとスイーツで彼女をもてなし、「縁を結ぶ」ことの意味を教えてくれます。
結ばれる不思議と縁が生み出すものに感謝したくなる、あたたかな気持ちで満たされる、シリーズ第5弾です。
<こんな人におすすめ>
人生の支えを失い戸惑い悩む女性を描いた話に興味がある
『満月珈琲店の星詠み』シリーズのファン
望月 麻衣のファン
縁て役目が終われば切れる
こともある。そう考えると
縁を結ぶことに怖がる必要は
ないんだな。
人と人がつながれば何かが
生まれるもの。縁てそんな
素敵な役割があるのよね。
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